前回から連載のコーチ・トニーのおすすめエクササイズ、今回もビギナー向けの種目を紹介します。

文・写真:Nazo

エクササイズ1 – ①
アラウンド・ザ・ワールド

ダンベルなどではできない、重力や遠心力を利用したKB(ケトルベル)の特長を生かした、いろんな呼び名のあるエクササイズです。コア、腹筋、肩周り、上腕筋などの強化に適していますが、これらの効果を得るには“スナッチが何とか数回できる”くらいの重めの重量のベルで行います。一方軽いベルで行うと、“鍛える”のではなく、速い動きでバリスティック・トレーニングとして、または体をほぐす目的のウオームアップとして活用できます。万が一落としても床が壊れないような場所で行ってください。

アメリカのトップ選手から学ぶビギナー向けケトルベルエクササイズ 後編
(画像=アラウンド・ザ・ワールド,『FITNESS LOVE』より 引用)
アメリカのトップ選手から学ぶビギナー向けケトルベルエクササイズ 後編
(画像=体の真後ろで左右を持ち替える瞬間。ベルが重くても握力をかけ過ぎず(ただし落とさないように注意)集中して素早く持ち替えること,『FITNESS LOVE』より 引用)

①直立し両手でベルを持つ。ここで最も重要なのはテンションを抜きリラックスすること。肩を落とし、取っ手は強く握りすぎないこと。
②写真のような左回りの場合、左手にベルを移し、弾みをつけながら後方へ回転させる。右手は体の後方へ回し、ベルを受け取る準備をする。コアに効かせるために、肩をベルとともに回転させないようにする。
③腰の中央で左から右にベルを素早く持ち替える。
④右手に持ったベルを正面へ移動させる。慣れてきたら速い動きで遠心力を感じながら行おう。ただし、動きが速くなっても上半身がグラグラ動かないように注意。
⑤ベルが体の正面に来たら再び左右の手を持ち替えて、同じ方向に5~10レップ行ったら反対方向にも5~10レップ行い、それを数セット繰り返す。


エクササイズ1- ②
アラウンド・ザ・ワールド・ベント・ニー

エクササイズ1の応用編で、膝を曲げて行います。膝を曲げることでエクササイズ1- ①の効果に加え、大殿筋、大腿四頭筋、ハムストリングなども強化できます。
1 – ①より2~4㎏軽いベルから始めます。エクササイズ1- ①に慣れたあと行います。

アメリカのトップ選手から学ぶビギナー向けケトルベルエクササイズ 後編
(画像=アラウンド・ザ・ワールド・ベント・ニー,『FITNESS LOVE』より 引用)
アメリカのトップ選手から学ぶビギナー向けケトルベルエクササイズ 後編
(画像=持ち替えの瞬間は両方の腕をしっかり伸ばして 意識を集中させること,『FITNESS LOVE』より 引用)

①直立してベルを正面中央に持つ。
②写真では左手にベルを移し後方へ動かすと同時に膝を曲げ始める。
③膝と腰がしっかり曲がったところで、ハムストリングスの下あたりで手を左右持ち替える。2から3にかけて猫背になると腰を故障しかねないので背中を真っすぐに保つこと。
④右手に持ち替えたベルを正面へ移動するとともに、膝を戻し始める。
⑤直立に戻り、ベルを正面中央で左右持ち替えて2に戻り、繰り返す。数レップ行ったら反対方向へ同レップ行う。
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エクササイズ2
ダブルスイング・アウトサイド・レッグス

普通のスイングに飽きてしまったら、たまにはこんな応用種目も。ベル2つで行う通常のダブルスイングは足の間を通りますが、これはダブルベルを足の外側でほぼ180度スイングさせます。ある程度の重量があったほうが、より遠心力を感じながら大きく振れるので楽しいです。コア、腰周り、大殿筋、大腿四頭筋などに効きます。上半身や頭を床と平行より下に下げすぎないこと(180度以上スイングしない)。

アメリカのトップ選手から学ぶビギナー向けケトルベルエクササイズ 後編
(画像=ダブルスイング・アウトサイド・レッグス,『FITNESS LOVE』より 引用)
アメリカのトップ選手から学ぶビギナー向けケトルベルエクササイズ 後編
(画像=ダブルスイング・アウトサイド・レッグス,『FITNESS LOVE』より 引用)

①足は腰幅のスタンスで立ち、ベル2つを両サイドに持って、腹筋を引き締めながらベルを前方に振り上げる。腰幅より広いスタンスで立つと、スイングの際ベルが足にぶつかってしまうので注意。
②重力でベルが落ちる勢いを利用しながらダウンスイング。2から3にかけて腹筋を使い、上半身がベルに引っ張られないようベルの動きをコントロールする。コントロールできないと腰を痛めやすい。2の瞬間は上半身はまだ真っすぐのまま。
③ダウンスイングからバックスイングにかけて素早い動きとなる。バックスイングの終わりでは腰は後方に突き出され上半身と腕は床とほぼ平行になる。ここから腹筋を引き締め、腰からベルを押し出すようにフロントスイングへと戻り1から約10レップ1セットを数セット繰り返す。レップごとを一定のリズムで行い腕は体から離れすぎないようにする。


エクササイズ3
ファーマーズ・ウオーク

重たい買い物袋を両手に持って移動するときなどの日常生活にも役立つファーマーズ・ウオークは、コアや握力強化に有効で、シンプルで効果的なエクササイズとして人気です。胸を張り、体は真っすぐ、頭は動かさずに、写真のラインのように、頭とベルが常に直線上に位置するようにします。男性なら1個24㎏以上、女性なら16㎏以上で5分間。手指がしびれ始めてから初めて効果が出る種目です。リフティングシューズより裸足がおすすめ。

アメリカのトップ選手から学ぶビギナー向けケトルベルエクササイズ 後編
(画像=ファーマーズ・ウオーク,『FITNESS LOVE』より 引用)
アメリカのトップ選手から学ぶビギナー向けケトルベルエクササイズ 後編
(画像=ファーマーズ・ウオーク,『FITNESS LOVE』より 引用)

①ベルはフィンガーフックで引っ掛けるように持つ。肩を落とし、腕をなるべくリラックスさせる。
②腹筋を引き締め上半身はグラつかせず真っすぐに、腰から下半身を動かす。
③頭は正面を向き呼吸は乱さず一定に、自然な形で歩き回る。手指がしびれ始めてからが勝負!
タイマーをかけ、最低5分間ベルを床に置かずに頑張ろう!

Nazo
ケトルベル(KB)・インストラクターおよびコーチ。OKCJ代表・ヘッドコーチ。元OKCインターナショナル・ディレクターおよびヘッドコーチ。国際ケトルベル連合の元日本代表。2015年のIUKL世界大会には日本から初めてナショナルチームを引率しアイルランドのダブリンへ行く。日本で初めてKBスポーツ競技会の開催を始めたKBスポーツにおける日本の開拓者(フロンティア)でもある。訪日イベントでは、資格コースの指導者であるとともに通訳、マニュアル本の制作と翻訳も行う。また、米国フィットネス雑誌アイアンマンの日本版、アイアンマンジャパンではケトルベル記事を執筆。現在はジム勤務や競技生活の現役をリタイアし、主に個人指導、トレーニングのプログラミングおよびオンラインなどでKBやフィットネスの執筆活動などを行なっている。

提供元・FITNESS LOVE

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