ゾンビ化は非常に有効な生存戦略

ハエゾンビをつくる恐怖の「ゾンビ菌」が2種類も発見される!
(画像=宿主を操作して感染を広げる方法はとても強力である / Credit:Canva,『ナゾロジー』より 引用)

宿主をゾンビ化する感染症はいくつか知られています。

最も有名なものは、狂犬病ウイルスです。

狂犬病ウイルスに感染した犬や人間は、理性を失いながらもターゲットとなる動物を確実に認識し、噛みつこうとします。

また同時に感染者は水を極度に恐れるようになります。

狂犬病ウイルスは感染した犬や人間の唾液に多く存在しており、噛みつくことでさらに感染を広げることができますが、感染者が水を飲むことで口腔内から洗い流されてしまうからです。

そのため狂犬病に侵された感染者は喉が渇いても水を飲もうとしません。

トキソプラズマという細菌は、感染したネズミやリスの精神を狂わせて恐怖心を奪い、天敵であるネコの前で目立つような行動をとらせます。

また以前記事にしたセミに感染するマッソスポラは宿主を性欲の塊にして、相手がオスであろうとメスであろうとかまわず交尾させようとします。

トキソプラズマは宿主の捕食を通してネコの体内で繁殖し、マッソスポラは交尾行動によって他のセミに感染できるからです。

このように、感染者をゾンビ化させる戦略は非常に強力であり、病原体は宿主の行動支配を通して、より効率的に、より広い範囲で繁殖できるのです。

では、今回みつかったハエのゾンビ菌(学名Strongwellsea tigrinae と Strongwellsea acerosa)はハエをどのように支配するのでしょうか?