山本俊樹選手といえば、ノーギアパワーリフティング(※)の公式試合でスクワット300kgを成功させたウエイトリフターとして、トレーニング業界で大注目の人物だ。そんな山本選手が2017年3月にアイアンマンで紹介したスクワット練習法。それは今でも変わらないという。当時のインタビューと共に筋トレ界の常識を覆す、豪傑のための恐るべき高強度な練習内容をご紹介。(※ニーラップや記録向上用のリフティングスーツを着用しないカテゴリー)

取材・文:藤本かずまさ  撮影:北岡一浩

――スクワットの使用重量がもっとも伸びた時期となると、いつになるのでしょうか。

山本 去年(2016年)1月のウエストトーキョー・パワーリフティング大会に向けての練習で、1カ月半で17㎏伸ばせました。

【動画】ウエイトリフター村上英士朗のスクワット

――そのときの練習というのは?

山本 とにかく重たい重量をハーフで担いでいました。膝が90度に曲がるところにベンチを置いて、お尻がついたらすぐに立つということをひたすらやっていました。

――ボックススクワットですね。この種目を取り入れた理由は何ですか?

山本 僕の場合は重量が重たくなってくると脚よりも体幹がブレてくるので、そのブレをなくすために重たいのを担いで、体幹を鍛えたかったんです。体幹部と脚のつなぎ目をいかにして強化するかを考えていました。体幹を鍛えるからといって、プレートを持って腹筋運動をやっても、スクワットの強化にはつながらない。やはりスクワットの動作のなかで鍛えたほうがいいだろうと考えました。

――だからハーフのスクワットで高重量を扱ったのですね。

山本 300㎏で10本といったトレーニングをつねにやっていたので、フルでの1本がすごく楽に感じました。ウエストトーキョー大会の3週間前に、ボックススクワットからフルスクワットに切り替えたら、一発目で290㎏を立てたんです。それまでのベストが283㎏でしたので、プラス7㎏の更新でした。さらに試合本番で10㎏更新して300㎏立てました。体幹をしっかりと強化できたことが記録につながったんだと思います。