南西諸島で、新種のゴキブリ2種が発見されました。
本種は「ルリゴキブリ属」というブルーメタリックに黄帯をした、いわゆる”美しいゴキブリ”に分類されます。
日本でゴキブリの新種が見つかるのは実に35年ぶりです。
研究は、法政大学、竜洋昆虫自然観察公園(静岡)、鹿児島大学により報告されました。
小柄で美しい新種ゴキブリ
新種が見つかったのは、鹿児島〜沖縄に広がる南西諸島です。
日本原産のルリゴキブリ属は、石垣島、西表島に生息する「ルリゴキブリ(学名:Eucorydia yasumatsui、ユーコリディア・ヤスマツイ)」のみが知られています。
今回記録された新種のひとつ、「アカボシルリゴキブリ(学名:Eucorydia tokaraensis、ユーコリディア・トカラエンシス)」は、宇治群島、トカラ列島の悪石島、奄美大島、徳之島に分布していました。
翅にオレンジ色の紋を3つ持つのが特徴で、サイズは全長12.0~13.0mm(オス)と小柄です。

一方の「ウスオビルリゴキブリ(学名:Eucorydia donanensis、ユーコリディア・ドナンエンシス)」は、八重山列島の与那国島にのみ生息し、青みがかった紫色のボディに薄ぼんやりしたオレンジの紋が特徴的です。
サイズは全長12.5~14.5mm(オス)とこちらも小柄です。

いずれも稀種であり、オスメスを同時に採集することが非常に困難でした。
しかし、同チームの柳澤静磨氏(竜洋昆虫自然観察公園)による粘り強いフィールドワークと飼育の結果、幼虫〜成虫までを詳しく観察することに成功しています。
「森の分解者」として活躍するゴキブリ
ゴキブリほど人から嫌われている生き物はいません。
家に出入りすることが大きな原因と思われますが、日本に生息する59種(今回の2種も含む)のうち、家庭に侵入するのは1割以下です。
その他の多くは森や洞窟の中に生息し、朽ち木などの有機物を食べて、人と関わりのない暮らしをしています。

見た目にも嫌悪されがちですが、日本〜東南アジアに分布するルリゴキブリ属は、美しく鮮やかな光沢を持った美麗種です。また、人の住まいに出入りすることもありません。
さらには、森林内の朽ち木や腐植物質を食べて分解してくれています。
今回の新種発見は、「森の分解者」として活躍するゴキブリの日本における多様性を理解する大きな一歩となるでしょう。
参考文献
法政大学
提供元・ナゾロジー
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