NASAの次世代の宇宙望遠鏡「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)」の運用が開始され、驚くべき深宇宙の撮影画像を次々と公開しています。
今回はその美しい宇宙の画像を紹介します。
目次
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の驚くべき4つの宇宙画像
美しい星雲たち
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の驚くべき4つの宇宙画像
これまでNASAのハッブル宇宙望遠鏡も息を飲むような宇宙の画像を撮影し、私たちを驚かせて来ましたが、新たに運用が開始された次世代の宇宙望遠鏡であるジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、さらに驚くべき宇宙の姿を明らかにしてくれています。
今回はNASAが公開した4つの画像は、もちろん画像処理によりに着色されたもので、肉眼に見えるそのままの姿ではありませんが、それは神秘的な宇宙の姿をと複雑な構造を可視化した素晴らしいものです。
まだ私たちの知らない宇宙の新しい映像を見てみましょう。
46億年前の銀河団「SMACS0723」

これは、JWSTが撮影した遠方の深宇宙の鮮明な赤外線画像で46億光年離れた場所にある銀河団です。
つまりここに写る銀河団の姿は地球が誕生した頃の姿ということになります。
ここにはこれまで赤外線観測された中でも、もっとも暗い天体を含む何千もの銀河が写っています。
これは地球上から肉眼で見た場合、夜空の中で砂粒程度の領域しか占めていません。
ハッブル宇宙望遠鏡の捉えることのできるもっとも深い領域を超える深度で、宇宙を撮影することに成功しています。
これは数十時間を使ったさまざまな波長の撮影の複合から作成されていて、撮影には数週間の時間を要したといいます。
この画像の中にはいくつかの引延されたような銀河の姿が見えると思いますが、これは銀河団の重力レンズ効果によって、より遠方の銀河が写り込んでいるためです。
ステファンの五つ子銀河

これはペガスス座方向にある近接した銀河の姿です。
五つ子と呼ばれてはいますが、実際に近接しているのは画像右側にある4つの銀河で、これらは地球から約2億9000万光年の距離にあります。
右側に浮かぶ銀河「NGC 7320」だけ他の4つの銀河とはかなり離れていて、地球にずっと近い約4000万光年の位置にあります。
4つの近接した銀河は、宇宙のスケールから見るともう衝突状態の銀河と呼んでいい状態で、こうした近接した銀河はクエーサーなどの超大質量ブラックホールの形成に関連していた可能性もあります。
この画像は1億5000万ピクセルを超えるもので、約1000の個別の画像ファイルから構成されています。
美しい星雲たち
サザンリング星雲

これは「NGC 3132」、別名サザンリング星雲と呼ばれる、ほ座(帆座)南にある地球からは約2000万光年離れた星雲です。
これは死んで崩壊した星の作り出した惑星状星雲と呼ばれるガスと塵の集まりです。
中央で明るく輝く星が目立つため、これが星雲のコアであるように見えますが、実際にはこれは星雲を生み出した星との連星です。
サザンリング星雲を生み出したのは、この輝く星の光の筋の左下にかすかに見える小さな星なのだそうです。
これはもう死んだ星である白色矮星で、数千年の間に8層のガスを放出していたと考えられます。
複雑な層を作るこのギザギザな星雲は、近接した状態で重力的にロックされたこの連星の作用によってかき回され作り出されたようです。
星雲は中央の明るい星の放射する光を反射することで、赤外線画像ではこのような鮮やかな姿に写っています。
カリーナ星雲「宇宙の断崖」

これはカリーナ星雲と呼ばれる、地球から約7600光年離れた散開星団「NGC3324」内の巨大なガス(星形成領域)の端の部分で、「宇宙の断崖」とも呼ばれています。
散開星団というのは一緒に同じ分子雲から生まれた星が集まっているものです。
この崖のような形の星雲は、この領域の中心にある若くて熱い星の強い放射線と恒星風によって作られた空洞よって作られています。
山のような部分は7光年の高さがあり、崖の上に見える青いガスは強い紫外線によって星雲から流れ出る高温のイオン化ガスと高温の塵です。
ここまで鮮明な撮影は、ハッブル宇宙望遠鏡でもできなかったようです。
なお、りゅうこつ座カリーナ星雲(NGC 3372)の全景はこのようなものです。

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、今後もこれまで人類には見ることのできなかった深宇宙のさまざまな謎を明らかにしてくれる予定です。
参考文献
JAMES WEBB SPACE TELESCOPE Image Resources
BREAKING: Five New Incredible Images Released From The JWST
提供元・ナゾロジー
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