ラスベガス在住KB(ケトルベル)コーチ・トニーがモデルのエクササイズ。今まで初級から上級までの種目を紹介してきましたが、最終回は“ウイング”バリエーションと上級種目の“アイアンクロス”を紹介します。両種目ともに上半身のエクササイズで、主に肩周りや広背筋のスタビリティー(安定性)強化に大変有効な種目です。特に胸筋や肩周りの筋肉が男性ほどない女性の場合は2㎏や4㎏などのミニベルの使用をお勧めします。

文・写真:Nazo

エクササイズ1
ウイング・フラップス〜1 KB ウイング・バリエーションで、片腕ずつ動かすシングルアーム・ムーヴメントです。ウイング・バリエーションとアイアンクロスの準備運動的種目といえます。

上半身の安定性強化に有効なケトルベル上級種目「アイアンクロス」
(画像=ウイング・フラップス1、『FITNESS LOVE』より引用)

①ベルをラックポジションに収めまっすぐ正面を向いて立つ。足は肩幅程度のスタンス。
②写真では左の肘をゆっくりと外側90度の角度まで上げる。ベルは肩の上に乗せるのではなく手の上に乗っている。この姿勢で2秒ほどホールド。
③ゆっくりとラックポジションに戻る。
④今度は反対側(写真では右)の肘を90度上げる。肘を上げる際には肘先に意識を集中させると腕が安定しやすい。
※肘が肩の延長線上(上半身から90度の角度)までしっかり上がらないと、このエクササイズの意味がないので肘をしっかり上げよう。

エクササイズ2
ウイング・フラップス〜2 ウイング・フラップス〜1が楽にできるようになったら次はこのエクササイズに進みます。エクササイズ1と同様ラックポジションから始めます。

上半身の安定性強化に有効なケトルベル上級種目「アイアンクロス」
(画像=ウイング・フラップス2、『FITNESS LOVE』より引用)

①ラックポジションからゆっくりと(写真では左の)腕を広げてゆく。肘が落ちないように注意しながらベルを持っている手を斜め前方へ動かす。動かしている側の胸は張り胸筋が引っ張られている感覚。
②再びゆっくりとラックポジションに戻る。
③反対側の腕を同じようにゆっくりと広げていく。

エクササイズ3
ウイング・フラップス〜3 ウイング・フラップス〜2ができるようになったら今度は腕を伸ばします。

上半身の安定性強化に有効なケトルベル上級種目「アイアンクロス」
(画像=ウイング・フラップス3、『FITNESS LOVE』より引用)

①ラックポジションからスタート
②(写真では)右腕をゆっくりと開いていく。この際、動いている右側のウエイト(ベル)にバランスを持って行かれないよう重心を左半身に置くことが重要ポイント。
③右腕が肩の延長線上(体から90度の角度)にまっすぐに伸びたところで1〜2秒静止したあと、再びゆっくりとラックポジションに戻る。

エクササイズ4
ウイング・フラップス〜4 エクササイズ1では片腕を上げましたが、今度は両腕を平行に上げます。三角筋や広背筋にテンションがかかり僧帽筋は頸髄や胸髄に向かって収縮します。

上半身の安定性強化に有効なケトルベル上級種目「アイアンクロス」
(画像=ウイング・フラップス4、『FITNESS LOVE』より引用)

エクササイズ5
アイアンクロス1 正式なアイアンクロスは、エクササイズ7で紹介していますが、この種目は難易度が高いため、実は今回のエクササイズ1から6までは全て最後の種目7を行うための予備運動と言えます。クロスとは十字架の意味。アイアンクロスとはすなわち“鉄の十字架”のことです。

上半身の安定性強化に有効なケトルベル上級種目「アイアンクロス」
(画像=アイアンクロス1、『FITNESS LOVE』より引用)

①ラックポジションからスタート②腹筋を引き締めながら腕をまっすぐ上げてダブルベルをオーバーヘッドに持っていく。
③トップでは肘をロックアウトし、腕、体、足全てまっすぐになるフィクセイションで一瞬静止。
④(写真では)右腕をトップから肩の延長線上にくるまでまっすぐ下ろす。ゆっくり行うほどキツさが増しより前腕や三角筋が鍛えられる。
⑤肩の位置まで下げた右腕を再びゆっくりオーバーヘッドに戻してフィクセイションで一瞬静止。
⑥⑤で一瞬静止したらすぐに今度は左腕を肩の位置まで下げる。
この後左腕をオーバーヘッドに戻して③のフォームから左右交互に腕を肩まで下げる運動を数レップ繰り返す。

エクササイズ6
アイアンクロス2 エクササイズ5ができるようになったら今度は両腕を同時に開きます。

上半身の安定性強化に有効なケトルベル上級種目「アイアンクロス」
(画像=アイアンクロス2、『FITNESS LOVE』より引用)

①ラックポジションからスタート
②ゆっくりと両腕を外側に平行に開き十字架のポーズで静止。前腕は緊張しベルが引っ繰り返らぬよう握力を最大に入れる。できれば鏡の前で行いしっかりと垂直の十字架ポーズになっているかチェックしよう。
③腕先からではなく肘を中央に寄せる感覚で両腕を戻しにかかる。
④ラックポジションに戻って2から繰り返し。

エクササイズ7
アイアンクロス〜3 エクササイズ6までは一度に行わず、最低でも数日かけて少しずつ行い、そしていよいよ最終目的のエクササイズ、アイアンクロスに挑戦です!

上半身の安定性強化に有効なケトルベル上級種目「アイアンクロス」
(画像=アイアンクロス3、『FITNESS LOVE』より引用)

①ダブルベルをラックポジションからガッツポーズへ持っていく。腕を耳の横につけたフィクセイション状態からのスタートでもOK。
②腹筋を引き締め腕を体と垂直になるまで下げる。②から③にかけて体を後方に反らすと難易度が弱まるが、それではこのエクササイズの効果が薄まるので、体は前にも後ろにも反らせないよう注意。
③最終ポーズの“アイアンクロス”完成。肘はロックアウトされ胸筋は開かれ体幹にはテンションがかかっている。このポーズがきっちり決まればジムでもちょっと目立つかも?(笑)

Nazo
ケトルベル(KB)・インストラクターおよびコーチ。OKCJ代表・ヘッドコーチ。元OKCインターナショナル・ディレクターおよびヘッドコーチ。国際ケトルベル連合の元日本代表。2015年のIUKL世界大会には日本から初めてナショナルチームを引率しアイルランドのダブリンへ行く。日本で初めてKBスポーツ競技会の開催を始めたKBスポーツにおける日本の開拓者(フロンティア)でもある。訪日イベントでは、資格コースの指導者であるとともに通訳、マニュアル本の制作と翻訳も行う。また、米国フィットネス雑誌アイアンマンの日本版、アイアンマンジャパンではケトルベル記事を執筆。現在はジム勤務や競技生活の現役をリタイアし、主に個人指導、トレーニングのプログラミングおよびオンラインなどでKBやフィットネスの執筆活動などを行なっている。

提供元・FITNESS LOVE

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