目次
温羅の首で吉凶を占う鳴亀神事
日本遺産となっている温羅退治の物語
まとめ語
温羅の首で吉凶を占う鳴亀神事

<鳴釜神事が行われる御竃殿>

<希望者は御竃殿か社務所で申込み>
この先の右に鳴釜神事(なるかましんじ)が行われる御竃殿(おかまでん)があります。
鳴釜神事とは、祈願が成就するか否かを占う神事です。鬼の首が埋まっているという竈で湯を沸かし、そこで「ウォーン」と、うなるような音が鳴れば吉、ならなければ凶です。そしてその判断は神職ではなく本人が感じて判断するという心身の引き締まる神事。希望者は初穂料3千円からで受けることができます。貴重な経験になるでしょう。
日本遺産となっている温羅退治の物語

<温羅退治にやってきた吉備津彦>
この鳴釜神事に出てくる鬼というのが、この地に伝わる鬼退治の伝説になっているのです。この話は吉備津神社の公式サイトに詳しく紹介されていました。
その昔、吉備の国の人々は魚にも穀物にも恵まれ幸せに暮らしていました。そこに百済の国から「温羅(うら)」という人間離れした者がやってきました。温羅は身長が4mもあり、獣のような鋭い目、毛むくじゃらの体。その恐ろしい風貌で瀬戸内の船から荷物を奪い、女や子供を連れ去り、人々を釜ゆでにしてしまうという許せない乱暴者でした。

<温羅はキジや鯉に姿を変え応戦>
そこで朝廷からの命で温羅を退治にやってきたのが、今やこの吉備津神社の主神となっている吉備津彦。吉備津彦と温羅は弓矢で激しく戦った末についに温羅が逃げ出します。温羅はキジに化けて空へ、吉備津彦はタカに姿を変えて追います。今度は温羅は鯉となって川へ、吉備津彦は水鳥の鵜となって追い、ついに温羅を捕え、その首をはねたのです。

<温羅が住んでたとされる鬼ノ城(総社市)>
この戦いに勝って人々を守った吉備津彦はこの神社の主神となり永遠と人々を護っています。そして敗れた温羅も御竃殿の竈の下で、日々人々の吉凶を占っているのです。
この物語が誰で知っている桃太郎の鬼退治となり、更にこのお話しは文化庁から「歴史的魅力で文化・伝統を語るストーリーとして日本遺産に認定されたのです。

<ご近所にある吉備津彦神社>
誰もが小さい頃に聞いた「桃太郎の鬼退治」にこんな実際のモデルがあったとは驚きです。「桃太郎の鬼退治」と「吉備津彦の温羅退治」を読んでから、ここを訪れたら感動も倍増することでしょう。
直ぐ近くにある吉備津彦神社や、温羅が住んでいたという総社市にある鬼ノ城(きのじょう)と共に拝観してはいかがでしょうか。
吉備津神社
- 住所:岡山県岡山市吉備津町931
- 参拝時間:5:00~18:00
まとめ
桃太郎を主神とする岡山市にある吉備津神社。国宝になっている本殿拝殿は全国で唯一の様式です。受験生は合格祈願が後を絶たない一童社からの熱いメッセージに力をいただき、観光なら長い回廊からの美しい景観を存分に楽しめることでしょう。そして鬼の首で吉凶を占うという鳴釜神事はとても貴重な体験になります。「桃太郎の鬼退治」のもとである、日本遺産ともなっている「吉備津彦の温羅退治」の地にぜひお出かけ下さい。
文・写真・KOJI SAITO/提供元・たびこふれ
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