「サムスン電子の業歴を考えれば、台湾TSMCより3ナノメートル(nm=10億分の1m)工程の量産に先に乗り出すのはすごいことです。今回のことがTSMCの牙城を崩す追撃の踏み台になりそうです。」
韓国半導体業界がまもなく発表する予定のサムスン電子のゲートオールアラウンド(GAA)基盤の3ナノ工程をめぐって興奮を隠せずにいる。ファウンドリ(半導体委託生産)業界では世界で初めて、業界1位のTSMCより6ヵ月ほど早い。
先月26日、業界によると、サムスン電子は今週、次世代GAA基盤の3ナノメートル半導体工程の量産を公式発表する計画だ。韓国メディア「inews24」が報じた。(写真:サムスン電子半導体クリーンルームの様子=サムスン電子)
これに先立ち、サムスン電子は今年第1四半期のカンファレンスコールで、「(第2四半期に)ファウンドリは3ナノ工程を世界で初めて量産し、技術リーダーシップを向上させる一方、米州や欧州などグローバル顧客企業の供給拡大に力を注ぐ」と明らかにした。
GAAは従来のフィンフェット(3D構造化)技術よりチップ面積を減らし、消費電力は減少させながら性能は高めた新技術で、半導体小型化と高性能化を同時に実現できる。サムスン電子のイ・ジェヨン副会長は先月、ジョー・バイデン米大統領の平沢(ピョンテク)半導体工場訪問当時、韓米両国首脳に同技術を採用した3ナノ試作品を紹介し、注目を集めた。
業界関係者は「GAA構造のトランジスタは電流の流れをより細かく調整できる」とし「GAA技術は5~10ナノ当時、既存先端半導体に使われていた工程技術(フィンフェット)よりトランジスタを小型化する過程で体験する露光技術の限界や、小さくなった半導体素子で発生しうる発熱や電流漏洩のような根本的な問題を解決できるものと見られる」と説明した。
サムスン電子は今月中に3ナノ半導体量産を皮切りに来年には3ナノ第2世代、2025年にはGAA基盤2ナノ工程量産に着手する「超格差技術」戦略を展開する方針だ。これを通じてTSMCとのシェア格差を短期間で縮めるという計画だ。TSMCは今年下半期にフィンフェット基盤3ナノ半導体を量産する予定で、GAA技術は2025年2ナノから採用すると知られた。
今回のことについて業界ではサムスン電子のファウンドリ技術力が予想より早く相当な水準に上がったと評価した。また2030年までにシステム半導体分野1位達成を目標にしたサムスン電子の「システム半導体2030ビジョン」達成も3ナノ公開を基点に順調に進むと観測した。
業界関係者は「ファウンドリ事業に参入し40年近くなるTSMCに比べてサムスン電子は業歴が短くエコシステムと顧客社が強固でないうえに人材も3分の1水準しかいない状況」とし「それにもかかわらずGAA基盤3ナノ工程を先に発表するということはすごいこと」と評価した。
続けて「原価削減と電力効率性増大に対する顧客会社の需要が多いだけに、半導体生産技術はこれを実現するために結局微細工程の方に行くほかはない」とし「TSMCとサムスン電子だけが7ナノ未満工程を実現している状況で今回のことはファウンドリ業界に相当な波紋をもたらすだろう」と付け加えた。
業界はサムスン電子が計画通り今月中に3ナノ半導体の量産に乗り出せばTSMCとの格差を減らすのにも相当役立つと見た。台湾市場調査会社のトレンドフォースによると、サムスン電子の市場シェアは昨年第4四半期の18.3%から今年第1四半期は16.3%へと、2%ポイントほど下落した。一方、TSMCは同期間、市場シェアが52.1%から53.6%に増加した。昨年第4四半期に33.8%ポイント水準だった両社のシェア格差は、今年第1四半期には37.3%ポイントとさらに広がった。
サムスン電子も今回のことを巡り、自信を示している。最近「3ナノ工程量産時期延期説」に対して直ちに「計画どおり進行されている」と立場を明らかにし否認したのもこの一環だ。
またサムスン電子は「3ナノ工程」発表を基点にファウンドリ主導権を確保しTSMCを超えるという抱負も示した。特に先月はファウンドリを未来の収益源として名指しし「サムスンのファウンドリが世界1位に成長する場合、サムスン電子より大きい企業が国内に追加でできるのと似た経済的効果」と説明し注目を集めた。
提供元・コリア・エレクトロニクス
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