カードローンとキャッシングはどちらもお金を借りるサービスだが、違いがよくわからない人もいるだろう。カードローンとキャッシングは、金利や利用限度額、返済方法などが異なる。これらを把握すれば、より上手にローンを使えるようになるはずだ。

カードローンとキャッシングの3つの違い

一般的に、クレジットカード付帯サービスのキャッシングは「キャッシング」と呼ばれる。ここでは、「クレジットカード付帯サービスのキャッシング」と「カードローン」の違いについて見ていこう。

共通するのは利用目的に制限がないこと

カードローンとキャッシングは、どちらも現金を借りられるサービスであり、利用目的も住宅ローンや自動車ローンなどと違い、原則として利用者が自由に決められる。

また、どちらもATMやキャッシュディスペンサーなどを利用してお金を借りる仕組みになっている。借りるために、人に会ったり電話をかけたりする必要はない。

違い1,金利は一般的にカードローンのほうが低い

大きな違いの一つは金利で、カードローンのほうがキャッシングよりも金利が低い傾向がある。たとえば三井住友銀行カードローンは1.5~14.5%だが、三井住友カードのキャッシングは14.4~18.0%だ。

注意したいのは、下限金利は利用限度額が多い場合に適用されることだ。三井住友銀行カードローンでの年1.5〜4.5%は、利用額が700万円超800万円以下のときに適用される。

カードローンでもキャッシングでも、利用する際は下限金利ではなく上限金利を想定したほうがいいだろう。

違い2,利用限度額はカードローンのほうが高い

たとえば、三井住友銀行カードローンの利用限度額は10万~800万円だが、三井住友カードのキャッシングは5万~300万円だ。このように、通常カードローンはキャッシングよりも利用限度額が高く設定されている。

なお、利用限度額は年収や勤続年数などの情報を基に、金融機関の審査によって決定される。希望の限度額よりも低く設定される可能性があることを覚えておこう。

違い3,一般的な返済方法が一括返済か残価スライドリボリング方式か

カードローンの返済方法は、「残高スライドリボルビング方式」が一般的だ。借入額によって毎月の返済額が変わる仕組みで、リボ払い方式で毎月返済していくことになる。

これに対してキャッシングでは、借り入れをした翌月に1回払いで返済する「一括返済」が一般的だ。

カードローンの3つの特徴 何度でも借入ができ、入会・年会費無料、担保・保証人なし

カードローンには、3つの大きな特徴がある。これらの特徴は、カードローンでお金を借りることが自分に向いているかどうかを判断する際の参考になるはずだ。

特徴1,決められた限度額の範囲内で何度でも借入ができる

利用限度額の範囲であれば、何回でも借入ができる。たとえば限度額が100万円なら、今月は10万円、来月は20万円を借りるといったこともできるわけだ。

ATMなどで手続きをすれば借入ができ、毎回審査されることもない。毎月の返済を確実に行っていれば、限度額の範囲内で自由に借入ができる。

特徴2,入会金や年会費が無料

カードローンは年会費がかからず、入会金も必要ない。つまり、カード発行でコストはかからない。これに対してクレジットカードは、年会費が発生するものもある。

ただし、ATM利用手数料には注意しよう。多くの場合は借入時にコンビニや銀行のATMを利用することになるが、場合によっては手数料がかかることもある。

特徴3,担保なし・保証人なしで借入ができる

担保とは、「返済ができなくなった場合に、返済金の代わりに金融機関に差し出すもの」のこと。大きく分けて、土地や住宅などの物的担保と、連帯債務者や連帯保証人といった人的担保がある。

担保を必要とするローンの代表は住宅ローンで、原則として購入する住宅を担保として提供することになる。しかしカードローンは無担保であり、保証人なしで借りられる。したがって住宅ローンなどと比較すると、借りるまでの心理的ハードルは低いと言える。

キャッシングの3つの特徴 審査不要、海外利用、クレジットカードの総利用額が減る

次からは、カードローンにはないキャッシングの特徴を見ていこう。

特徴1,追加の申し込みや審査が不要

手持ちのクレジットカードにキャッシング機能があれば、わざわざ申込みをする必要がない。

ただしキャッシング枠が0円になっている場合、キャッシング利用の手続きをしないと利用できない。その場合は改めて審査を受けることになり、場合によっては審査に落ちることもある。

特徴2,海外でもキャッシングができる

キャッシングは、海外でも利用できる場合がある。余分な現金を持たず、旅先のATMで現地通貨を引き出せるので便利だ。

もちろん海外でのキャッシングにも金利がかかるが、繰上返済をすれば支払う利息を減らせる。ペイジー(Pay-easy)などオンラインでの返済サービスを利用すれば、帰国前に繰上返済をすることもできる。

特徴3,キャッシングをすると「ショッピング利用枠」が減る

クレジットカードには、利用できる限度額である「総利用枠」がある。総利用枠とは、ショッピングとキャッシングを合計して利用できる上限額のことだ。

たとえば「ショッピング50万円、キャッシング20万円」と設定されているカードで10万円をキャッシングすると、ショッピングで使える枠が40万円に減ってしまうので、それに気を付けながら利用したい。

カードローン利用がおすすめな3つのパターン――高額、低金利、高頻度の場合

お金を借りるとき、どんな場合はカードローンが向いていて、どんな場合はキャッシングが向いているのだろうか。サービスの違いや、それぞれの特徴を整理した上で、カードローンが向いている3つのパターンを紹介していこう。

パターン1,まとまった額を借り入れたい

10万円や20万円ではなく、100万円などのまとまった額の借入が必要なら、カードローンを選ぼう。キャッシングで借りられるのは、1万~100万円であることが多いからだ。

大きな額を借り入れても、リボ払いなので毎月の返済は少額で済む。しかし、その分利息を長期間支払っていくことになる。

パターン2,金利を低く抑えたい

カードローンでは、利用額が高くなるほど金利が低くなるのもメリットだ。キャッシングでは金利は原則として一律であり、利用額に応じて下がることはほとんどない。

しかし高い利用限度額が設定されるためには、それにふさわしい年収などの条件が求められる。あくまで審査で決まるものなので、必ずしも限度額を高く設定してもらえるとは限らないので注意しよう。

パターン3,頻繁に借り入れたい

利用限度額の範囲であれば、カードローンは何度でも借入ができる。キャッシングのように、利用するたびにショッピング枠が減ることを気にする必要もない。

ただし、借入額が増えやすいことに注意しなければならない。安易に借りるのではなく、よく考えて必要な分だけを借りるようにしよう。

キャッシング利用がおすすめな3つのパターン――少額、低頻度、カード枚数

一方でキャッシングの利用がおすすめなのは、以下のような場合だ。

パターン1,少額を借り入れたい

3万円や5万円といった少額であれば、キャッシングで充分対応できる。カードローンをわざわざ申込まなくても、手持ちのクレジットカードで借入ができる。

ただし、キャッシング枠が0円になっていると利用できないので、事前に確認しておこう。

パターン2,借り入れる機会が多くない

借入の頻度は少ないが、一時的に借入をしなくてはならない場合はキャッシングのほうがいいだろう。何度も借入をしないなら、利用限度額が低くてもそれほど不便を感じることはないだろう。

一般的にキャッシングの金利はカードローンよりも高いが、借り入れた月の翌月に一括で返済すれば、支払う利息も少なくて済む。

パターン3,カードを増やしたくない

カードローンはクレジットカードとは別のサービスなので、申し込むと手持ちのカードが増えることになる。カードをこれ以上増やしたくない場合は、キャッシングを選ぶといいだろう。

カードローンとキャッシング、自分に適したほうを選ぼう

カードローンとキャッシングは、どちらも現金を借りられるサービスだが、金利や利用限度額、返済方法が異なる。借入を希望する額や借入の頻度などを考慮して、どちらを選ぶべきかを判断してほしい。

借入は必要な分だけにとどめて、毎月の返済は確実に実行しよう。
 
執筆・安藤真一郎(ファイナンシャルプランナー)

主に金融系ライターとして活動し、2019年に2級FP技能士資格を取得。マネージャンルで役立つ情報を、初心者にも分かりやすく解説したコンテンツ制作を心掛ける。関心分野は、キャッシュレス決済、積立投資、ポイ活、節約術など。  

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