平日は時間がとれず、仕方なく週末だけ運動しているという人は多いでしょう。

そんな人は、やらないよりマシだろうと、若干健康に対して諦めムードになっていないでしょうか?

今回の研究は、そんな人たちにとって朗報かもしれません。

ブラジル・サンパウロ連邦大学(UNIFESP)に所属する運動生理学者マウリシオ・ドス・サントス氏ら研究チームは、1週間分の運動を週末にまとめて行っても健康上大きな違いはないと報告したのです。

研究の詳細は、2022年7月5日付の学術誌『JAMA Internal Medicine』に掲載されました。

目次
1週間に推奨される運動量
運動は週末にまとめて行っても大丈夫!

1週間に推奨される運動量

世界保健機関(WHO)の2020年のガイドラインには、「成人は毎週150~300分の中強度の運動、または毎週75~150分の高強度の運動を行うべき」と規定されています。

中強度の運動とは、少し息が上がるがギリギリ会話できる程度の運動のことであり、軽めのジョギングやテニス、登山などが該当します。

また高強度の運動とは、息が上がって会話ができないような運動のことであり、ランニングや水泳、バスケットボールなどが該当。

つまり健康を維持したいなら、これらの運動量を毎週満たしていく必要があるのです。

運動の種類や組み合わせ方は自由なので、例えば、次のように割り振れるでしょう。

  • 例1:軽めのジョギング40分を週4~7回
  • 例2:水泳30分を週3~5回
  • 例3:軽めのジョギング40分を週2回と水泳30分を週2回
  • 例4:バスケットボールもしくは水泳60分を週2回 どれも健康的な運動ルーティンとなります。

しかし、運動がそこまで好きではない人、また忙しい人にとって、週に何度も運動する機会を設けるのは難しいでしょう。

1週間分の運動を週末にまとめてしても問題ないと判明!
(画像=週に何度も運動するのが難しい場合は? / Credit:Depositphotos、『ナゾロジー』より引用)

定期的に運動する例1~3よりも、週末だけで達成できそうな例4の方が魅力的に思える人は多いはずです。

とはいえ、ここで疑問が生じます。

1週間分の運動を週末の1.2回にまとめる方法は、健康的に問題ないのでしょうか?

運動は週末にまとめて行っても大丈夫!

サントス氏ら研究チームは、推奨されている1週間分の運動量を、1~2回で済ませても問題ないのか、それとも1週間のうちに3回以上定期的に行った方が良いのか、研究することにしました。

そこで、アメリカの国民健康聞き取り調査「National Health Interview Survey(NHIS)」の1997~2013年に収集された、アメリカ人35万人以上のデータを分析。

1週間の運動頻度の違いが、病気などの死亡率にどのような影響を与えているか調べたのです。

1週間分の運動を週末にまとめてしても問題ないと判明!
(画像=1週間分の運動量を週末にまとめても死亡率を減少させられる? / Credit:Depositphotos、『ナゾロジー』より引用)

その結果、週末だけ運動する人と定期的に運動する人は、運動しない人よりも死亡率が低いことがわかりました。

ただ、週末だけ運動する人は、定期的に運動する人よりもいくらか死亡率は高くなっていました。

しかしこの結果について研究チームは、「総運動量を同レベルにすると、週末だけ運動する人と定期的に運動する人の死亡率に有意差は見られなかった」と結論付けています。

つまり、推奨される運動量を同じだけ行うのであれば、週末にまとめてしまっても特に問題はなかったのです。

これは忙しい日々を送っている人にとってうれしい情報ですね。

とはいえ、この研究は病気による死亡率に焦点を当てたものです。

他の健康指標や体型・筋力にとって理想的な運動頻度を示すものではありません。

また定期的に運動する方が総運動量を増やしやすいのも事実です。

週末だけしか運動できないのであれば、できるだけ欠かさず、十分な運動量を確保するよう心がけると良いでしょう。


参考文献

Huge Study Finds Getting All Your Exercise on The Weekend Is Probably Fine

元論文

Association of the “Weekend Warrior” and Other Leisure-time Physical Activity Patterns With All-Cause and Cause-Specific Mortality


提供元・ナゾロジー

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