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サングラスに活かされる光物理学
実際には何が起こっているの?
サングラスをかける前と後で、見える風景が一変してしまう動画が話題になっています。
その「魔法」のような現象を起こしたのは、眩しい光から目を守る「偏光サングラス」。
動画を作成したThund3rbolt氏は、太陽の照り返しで水面下が全く見えない池を偏光サングラスで観察し、その様子をアメリカの動画投稿サイトgyfcatにアップしています。
偏光サングラスを掛けた瞬間、なんと光の反射で見えていなかった魚の姿が露わになりました。
その驚きの光景から、ネット上では「鳥肌が立った」「釣り人がサングラスをする理由が分かった」とコメントされています。
なぜ動画のようにサングラスを掛けるだけで、急に水中の様子が分かるようになったのでしょうか?
サングラスに活かされる光物理学
偏光サングラスには、その名の通り「偏光」という一定方向にのみ振動する光が利用されています。
光はいろんな向きや波長をもって振動する「波」であると考えられていて、その光は物体にぶつかるとさまざまな方向に反射します。
人間は、太陽光や電球の光から反射した光(反射光)を見て物体の明るさや色を判断しているのですが、反射光の量が多すぎると眩しく感じてしまうのです。
実はその眩しく感じる反射光を減らすために、「偏光シート」というものが利用されています。
偏光シートは一定方向に細かいミゾが彫られた板で、そのミゾにあった形の光しか通しません。
つまり、偏光シートにさまざまな方向へ振動する反射光(非偏光ともいいます。)を当てると、ミゾを通れる一定方向に振動する「偏光」のみが通過します。
これを利用して、光の量を抑えているのが偏光サングラスです。
実際には何が起こっているの?
偏光サングラスの仕組みを知ったところで、もう一度動画を見てみましょう。すると、魚が見えない状態の池には太陽が写っていることが分かります。
この状態では水面が上空の太陽の光を全反射していて、眩しい光が大量に目に入るため、水中の魚が見えません。
それに対して、サングラスを掛けた状態では水面に太陽がほぼ無くなっていることが分かります。
このとき、レンズ中の偏光シートが反射光をカットしているので、眩しさを感じずに水中の魚を見ることができたのです。