米アマゾンは、コンビニエンスストア「アマゾンゴー(Amazon Go)」とスーパーマーケット「アマゾンフレッシュ(Amazon Fresh)」で収集した顧客の購買行動データを商品サプライヤーであるメーカー向けに提供するサービスを始める。

 サービス名は「ストアアナリティクス(Store Analytics)」で、レジなし決済システム「ジャスト・ウォーク・アウト(Just Walk Out)」、カメラや重量センサーなどが搭載されたスマートショッピングカート「アマゾン・ダッシュカート(Amazon Dash Cart)」のいずれかを導入している店舗で収集したデータを、集約・匿名化した上でメーカーに提供する。

 同サービスを利用するメーカーは、ストアアナリティクスのダッシュボード画面から顧客が自社製品を棚から手に取った比率、実際に購入した比率、店舗では購入しなかったがその後、アマゾンのEコマースサイトで購入した比率などを確認することができる。サービスの利用料は明らかにしていない。

 アマゾン店内のデジタルサイネージ(電子看板)などに広告を配信しているメーカーは、広告効果の測定に役立つデータにもアクセスすることができる。

 ストアアナリティクスで提供されるデータには、店内に設置されたカメラの映像も活用されるが、アマゾンは映像を含めて個人を特定できるようなデータは提供しない。また、自分の行動データが活用されることを望まない消費者は、ストアアナリティクスのウェブサイトからオプトアウト(個人情報の使用拒否)の手続きをすることができる。

 アマゾンのライバルであるウォルマートは2021年10月、サプライヤー向けの顧客データプラットフォーム「ウォルマートルミネート(Walmart Luminate)」をリリースした。ウォルマートによれば同プラットフォームの売上高は2022年2〜4月期に前四半期に比べて75%増加し、利用するサプライヤー数は50%増加した。

 ウォルマートルミネートは、ウォルマートの実店舗とEコマースサイトでの顧客行動データを集約・匿名化してサプライヤーに提供している。Eコマースサイトに出店する小売業も同プラットフォームを利用できる。

提供元・DCSオンライン

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