日本から当地に遊びにやってきた方々が苦い思いをしています。日本入国には72時間前までのPCR検査が必要ですが、これに引っかかってしまうのです。当然、帰国できません。夏休みのこの時期のフライト変更はたやすくなく、ホテルの延長宿泊はぞっとするほどの予定外出費になります。

カナダの規定では検査キットで陽性が出た場合、5日間隔離し、その際にもう一度検査キットでチェックするとなっています。ところがそれでも陰性にならない人がいるようで10日延期という場合も出ているようです。

忘れかけていたコロナ:リセッションと相まって深刻な影響も
Nastco/iStock(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)

昨日、ロスアンジェルスにお住まいの方から「9月の東京の会議、どうする?」と相談を受けました。その方も私も9月下旬に同じ会議に出席の予定なのですが、「ロスもひどいんですよ、コロナ」と。私の周りでもコロナにかかる人はコンスタントに発生しています。発生率だけ見れば感覚的なものですが、コロナで大騒ぎした2020年や21年よりはるかに多い気がするのですが、誰も重篤化しないため本当の意味での「ウィズ コロナ」の時代になったと言えるのでしょう。

私の個人的予想では会議はオンラインになるから東京に行く必要はない、こう見ています。理由は日本もかなりのスピードで感染者が増えているからです。

まず、北米ではどれぐらい感染しているのでしょうか?実はもう頼れる統計はありません。インターネットには世界各国の感染状況が最新データとして常にアップデートされていますが、全く信頼できません。なぜなら誰もほとんどカウントしていないからです。当地で簡易検査キットで陽性反応が出た場合811に電話すると州のコロナヘルプラインに繋がるのですが、「では自宅で自主隔離して5日目に再度検査し、陰性なら通常生活に戻っていいですよ」で終わります。ここでもカウントはしません。

では日本の場合はどうでしょうか?日本はまじめできちんとしている国なのでまだ統計の信ぴょう性は高いものがあります。それを俯瞰すると6月半ばがボトムでそこから今、ほぼ倍増です。夏は感染しにくいはずだったのにこれほど広がっているということは今までの常識が通じなくなっている可能性があります。しかも未だにしっかりマスクをしている日本に於いて、であります。

お隣韓国は6月17日に一日6000人程度と新規感染者数が直近のボトムでしたが、現在は3倍の18000人程度に膨れています。台湾は5月末がピークで現在は減少プロセス中なのでデータ的には参照できません。問題は中国本土でロックダウン後、感染者数は落ち着いています。が、私は必ず大きなリバウンドがあるとみています。その時、再びロックダウンを含む厳しい制限を課すのかを心配しています。

重篤化しないといっても日本のデータだけ見ても6月中旬のボトムから重症者数はほぼ2倍、入院患者数は5割増です。母数が小さいので5割増とか2倍というと大きく見えますが、メディアで取り上げないのは絶対数がまだ小さいからでしょう。

ただ、私は4度目の接種は早めに対策を取ったほうが良いとみています。現在は60歳以上で前回の接種から5か月経過ないし、基礎疾患を持っている18歳以上の方を対象にしています。個人的には政府や各自治体は今までのワクチンと同様の対策の準備を進める時期にあると考えています。

ワクチンを打っていてもコロナにかかる、コロナは2度も3度もかかる点を理解しなくてはいけません。「私、もう一回かかったから」は全然答えにならないのです。

私が心配するのは社会的影響と共に世界経済へのインパクトの要因の一つになりかねない点です。ただでさえ今年後半から来年にかけて「R」印と称されるリセッションが意識されています。これに輪をかけるような事態になれば目も当てられません。やっぱり人が集まるのはダメなのか、ということになればすごろくの「振出しに戻る」そのものです。

いくら重篤化しない、ウィズコロナだとしても影響は出ます。それを食い止めるための対策は早いうちに準備しておくことに越したことはないと考えています。

では今日はこのぐらいで。

文・岡本 裕明

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年7月6日の記事より転載させていただきました。

文・岡本 裕明/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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