イギリスの動物愛護団体「PDSA」は、25日、カンボジアでの地雷撤去に貢献した勇敢さをたたえ、5歳のアフリカオニネズミ「マガワ(Magawa)」に金メダルを授与しました。
同賞は動物に送られる最高賞であり、77年の歴史の中で、ネズミが金メダルを獲得するのは初めてです。
マガワは優れた嗅覚で地雷や不発弾を探知し、多くの人の命を救っています。
目次
1年の訓練を耐えた「英雄ネズミ」
4日かかる探知を30分で完遂
1年の訓練を耐えた「英雄ネズミ」
2014年に、東アフリカのタンザニアで生まれたマガワは、ベルリンの慈善団体「APOPO」により特殊な訓練を受けました。
APOPOは、地雷や結核患者を探知するための動物を育てており、マガワも爆発物に含まれる「TNT(トリニトロトルエン)、火薬」などをピンポイントで嗅ぎ分けられます。
探知に成功すると、マガワは大好物のバナナやピーナッツを貰えるそうです。
1年間の厳しい訓練に耐えたネズミは「HeroRATs(ヒーローラット、英雄ネズミ)」と呼ばれ、カンボジアやアンゴラ、ジンバブエ、モザンビークなどの現場へと送られます。
マガワの任務地は、カンボジア北部のシエムレアプでした。
カンボジアでは1975以来、大量の地雷や爆発物が埋められ、約6万4000人が死亡、約2万5000人が負傷しています。
マガワは現在までに39個の地雷と28個の不発弾を発見し、同団体で最も優秀なヒーローラットとなりました。
4日かかる探知を30分で完遂
マガワの能力は、従来の金属探知機をはるかに凌ぎます。
金属探知機は爆発物以外の金属にも反応してしまいますが、マガワは火薬の匂いを嗅ぎ分け、爆発物だけをすばやく探知します。
そのため、金属探知機では4日かかる広さも、マガワにかかれば30分で走査可能です。しかも、人と違って軽いため、地雷の上を走っても起爆することはありません。
さらに、報酬の食べ物さえあれば、繰り返しのタスクもいとわないので、探知作業は常にスムーズです。マガワは地雷や不発弾を見つけると、その場所を引っかいて隊員に知らせます。
一方で、マガワにも引退の時期が近づいているそうです。
APOPOによると、英雄ネズミの任期は4〜5年であり、マガワはすでに4年働いて、サッカーコート20面分の敷地を探知し終えています。
このまま無事に任務を終えて、ゆっくりと隠居生活を送ってもらいたいですね。
参考文献
zmescience
提供元・ナゾロジー
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