2018年12月現在、首都圏の新築マンション価格は下落の傾向にある。中古マンション市場も在庫が過去最高水準で積み上がっており、長年住宅市場を見てきた筆者の意見としては、そろそろピークアウトしてもおかしくない。消費税増税が予定される2019年は、マンション市場にとっても大きな曲がり角の年になりそうだが、果たして今はマンションの買い時と言えるのだろうか?

首都圏マンション価格はすでに下がり始めている

首都圏の新築マンション価格は2012年に前年の4,578万円から4,540万円に若干下がった後、5年連続して上昇、2017年には5,908万円に達した。

しかし、2018年に入ってその勢いに変化が生じている。不動産経済研究所によれば、2018年度上半期の首都圏マンションの平均価格は5,762万円。2017年度上半期に比べて3.8%ダウンしている。

高くなり過ぎて売れなくなったため、価格を下げるしかないのだが、この程度の引下げではあまり効果はなく、契約率は好不調のボーダーラインと言われる70%を割った状態が続いている。

住宅ローンは依然として低金利が続いているものの、収入が大幅に増加するような環境ではなく、住宅取得を後押しする材料は乏しい。

2019年に入っても、価格はジワジワと低下しながらなかなか売れないという厳しい環境が続くのではないだろうか。

消費税増税後には本格的な価格下落の可能性

価格下落を加速させる要因になりそうなのが、2019年10月に予定されている消費税の増税だ。

増税によって住宅建設に急ブレーキがかからないように、国は住宅ローン減税の拡充などの施策を打ち出しているが、それだけでは需要を喚起するほどのインパクトは期待できない。むしろ2%の増税は一般家庭の家計を苦しめ、住宅取得意欲を減退させる可能性が高い。

住宅取得意欲を高めるためには、各種の住宅取得支援策と同時に、価格の大幅な引下げが欠かせないだろう。2013年からの値上がり局面に入る前の5,000万円以下の水準は期待できないまでも、せめて5,000万円台前半から半ばあたりまで下がらないと、一般消費者の購入意欲は出てこないだろう。

中古マンション価格もそろそろピークアウトか

新築価格が高いままだと、消費者はもう一つの選択肢である中古マンションに流れる。そのため、首都圏の中古マンション価格も新築マンションを追うように上がり続けている。2018年10月の成約価格の平均は3,275万円で、2013年1月以来70ヵ月連続で上昇しているという(東日本不動産流通機構「2018年10月度サマリーレポート」より)。

その結果、在庫価格と成約価格の差が限りなく小さくなっている。2017年12月は1平方メートル当たりの在庫価格56.85万円に対して、成約価格は51.94万円で乖離率は9.5%まで縮小した。だが2018年10月は在庫価格が57.99万円で、成約価格は50.57万円と乖離率は14.7%まで拡大している。

乖離率が小さいということは、値引き余地が小さい売手市場を意味する。乖離率が大きくなると、一定の値引き交渉が可能な買手市場になる。

中古マンション価格の上昇は続いているものの、市場の変化を踏まえれば、そろそろ曲がり角と考えたほうがいいだろう。

価格や金利面など買手優位の環境がやってくる

こうして見ると、2019年には新築マンション価格が本格的に下がり始めて買いやすくなり、それを追って中古マンション価格も下がると予想できる。

消費増税によって家計負担が増えるというマイナス要因はあるものの、増税による負担増加分を価格の低下が補ってくれるだろう。しかも、低金利が続き、消費増税にともない住宅取得支援策がさらに充実するので、消費者は買い時がやってくると期待していいのではないだろうか。

文・山下和之(住宅ジャーナリスト)
 

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