ニュージーランド沖で「光るサメ」が3種発見されました。
これら3種は学問的にすでに知られた存在ですが、生物発光が確認されたのは初めてのこと。
また、ニュージーランド海域で発光性のサメが見つかるのも初となっています。
研究は、2月26日付けで『Frontiers in Marine Science』に掲載されました。
「ホルモン物質」による生物発光は初!
今回発光が確認されたのは、
ヨロイザメ(学名:Dalatias licha)
ブラックベリー・ランタンシャーク(学名:Etmopterus lucifer)
サウザン・ランタンシャーク(学名:Etmopterus granulosus)
の3種です。
ヨロイザメは全長180センチまで成長し、発光する脊椎動物としては世界最大となります。
あとの2種はヨロイザメより小さく、全長47〜60センチほどです。
それでも既知の発光生物は、菌類や昆虫、クラゲ、一部の小型魚類など小さなものばかりで、それより大きなサメで確認されたのは珍しいと言えます。
一方で、サメの生物発光は報告例に乏しく、あまり研究も進んでいませんでした。
そこで、ルーヴァン・カトリック大学(ベルギー)と国立水・大気圏研究所(ニュージーランド)は、昨年1月からニュージーランド東海岸沖で調査を開始。
対象となったのは、水深200〜1,000メートルの中深層で、別名「トワイライトゾーン」と呼ばれる水域です。
トワイライトゾーンには、発光生物がたくさん分布し、一説では、90%以上が何らかの生物発光を持っているとされます。
トロール網漁の末、ヨロイザメ13匹、ブラックベリー・ランタンシャーク7匹、サウザン・ランタンシャーク4匹の採捕に成功。
3種を調べた結果、皮膚上に無数の発光体が発見されました。
さらに3種の発光は、「メラトニン」というホルモン物質によって誘引されており、これは発光生物として初のことです。
また、サメが光る理由として、研究チームは「一種のカモフラージュ」と推測します。
3種が放つ柔らかな青い光は下腹と横腹に集中しており、海面の青い光と重なると、その下を泳ぐ捕食者からは見えづらくなります。
これは「カウンター・イルミネーション(逆光照明)」というカモフラージュ法です。
同チームは論文内で「生物発光は海中ではまれな現象とされます。
しかし、深海の広大さと、中深層における発光生物の出現率を踏まえれば、地球最大の生態系を構築する上で重要な役割を果たしていることは明らかでしょう」と述べています。
参考文献
Sharks that glow in the dark? Scientists discover luminous deep-sea predators off New Zealand
We Just Found The Largest Luminous Glowing Shark Species in The World
元論文
Bioluminescence of the Largest Luminous Vertebrate, the Kitefin Shark, Dalatias licha: First Insights and Comparative Aspects
提供元・ナゾロジー
【関連記事】
・ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見 生首から心臓まで再生できる(日本)
・人間に必要な「1日の水分量」は、他の霊長類の半分だと判明! 森からの脱出に成功した要因か
・深海の微生物は「自然に起こる水分解」からエネルギーを得ていた?! エイリアン発見につながる研究結果
・「生体工学網膜」が失明治療に革命を起こす?
・人工培養脳を「乳児の脳」まで生育することに成功