政府の役割
では、企業に対して「子育て終了後の女性を雇用する」インセンティブをどのようにして用意すれば良いのか?
企業が「子供を持つ女性を正規職として雇用していること」をポイント化し、政府がそのポイントに応じて法人税を減免するか、あるいは補助金を出せば良い。また、逆に一定のポイントに達していない企業については増税になるようにパラメータを工夫すれば、増減税ニュートラルで政策を実施できる。日本の官僚は優秀なので、パラメータの設定については任せたいと思う。
当然ながら、この方式は公平ではない。「男性ばかりの職種」に対しては、増税のデメリットしかない。しかし、筆者はそれで良いと考えている。この政策が実現すれば、そうした職種でも女性にできる仕事を工夫するようになるだろうし、女性が正規職に就き、管理職として登用されるようになれば、全ての企業に間接的にせよ、恩恵がもたらされることになる。
最後に
性別に関わらず、「意義のある仕事をしたい、仕事で認められたい」という気持ちは社会人にとって大切なアイデンティティになる。女性が結婚や出産に踏み切れない最大の理由は「出産したら、二度と仕事で活躍できない」という恐れがあるからだ。それを「早く出産すれば、それだけ早く仕事に復帰でき、ハンディキャップ無しに活躍できる」ようにすれば女性の志向は逆転する。その意味で「少子化対策と女性活用はカードの表裏である」のだ。この政策にメリットがあることを、声を大にして言いたい。
日本社会には国民皆保険制度など、国際的に見ても高く評価できる点がいくつもある。しかし、現代日本は制度疲労により少子化問題、貧困問題、男女間の給与格差問題など多数の問題を引き起こしている。こうした問題を解決するのは本来、政治家の役割ではあるけれど、政治家は「政府に関わった時点で官僚の常識を吹き込まれ、新しい発想が出しにくい」ことが問題だ。したがって、私達市井の「官僚から見れば非常識」な一般人が自由な発想で提言を挙げることには価値があると思われる。本稿が編集部に採用され、掲載された場合、第二弾、第三弾の提案を出したいと思う。それらの私案が、読者が日本の現状について考えるきっかけになれば、筆者としてこれ以上の喜びはない。
文・大原 誠一/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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