韓国国内研究チームがペロブスカイトナノ粒子の発光原理を精密に究明し、構造的安定性を高めることができる制御技術を開発した。今後、ペロブスカイト発光素子の次世代ディスプレイ商用化技術の開発に重要な進展があるものと期待される。韓国メディア「ヘラルド経済」が報じた。(写真:研究結果が掲載された国際学術誌「PHYSICAL CHEMISTRY LETTERS」の表紙=KBSI提供)
原文記事:news.heraldcorp.com/view.php?ud=20220621000200

韓国基礎科学支援研究院(KBSI)は21日、大邱(テグ)センターのチェ・ウォンシク博士研究チームと大邱慶北(テグキョンブク)科学技術院(DGIST)エネルギー工学科のイ・ジョンス教授研究チームが共同でペロブスカイト光素材内量子粒子の状態変化をリアルタイム分析し、発光効率を阻害する要因を除去し、発光の安定性を画期的に高めたと明らかにした。

ペロブスカイト光素材は高い発光効率と高色純度を持ち、有機発光ダイオード(OLED)に代わる次世代ディスプレイ素材として脚光を浴びている。だが、ペロブスカイトは表面と内部が熱や光に露出した時、イオン結合が不安定な挙動を起こし、ディスプレイ性能を低下させ発光時間を短くする。このような発光効率低下の要因は、次世代ディスプレイ商用化の障害として作用してきた。

研究チームは「時分解蛍光共焦点顕微鏡(FLIM)」装備で単一ナノ粒子内部を時間と空間を同時分割し量子粒子の状態変化をリアルタイム分析した結果、エキシトンに陰電荷を帯びる電子または陽電荷を帯びる正孔が追加的に結合したトライオン量子粒子の存在有無を確認することができた。また、このように生成された陰電荷または陽電荷トライオン粒子の不規則な動きが発光の安定性を下げる主要原因であることを見つけることができた。

特に発光効率低下の主要要因となるトライオン再結合を遮断するために銀(Ag)ナノ棒光結晶基板を採用して結合経路を効果的に制御する技術を世界で初めて開発した。光結晶は信号伝達用光ファイバーケーブルにも採用される構造結晶体で、銀ナノ棒光結晶を通じてトライオン再結合は除去される反面、高効率発光に有益なエキシトン再結合経路が拡大することによって、発光の安定性を一層高めることができた。

チェ・ウォンシク博士は「ディスプレイ素材内で起きる量子現象を正確に明らかにし、制御できる基礎を用意したもので、今後半導体およびディスプレイ研究と関連応用産業発展に必要な核心量子情報を提供するものと期待される」とし「半導体ナノ素材内で生成される多様な量子粒子のリアルタイム挙動分析のための後続研究も進行している」と明らかにした。

イ・ジョンス教授は「今回の研究は次世代ディスプレイ技術であるペロブスカイト量子ドット光電素子の光生成および消滅原理を明らかにしたもので、高安定性ペロブスカイト素子製作に役立つ後続研究を進行中」と伝えた。

今回の研究結果は物理化学分野の国際学術誌「フィジカルケミストリーレターズ」6月9日付表紙論文に選ばれた。

参考記事:韓国の研究チーム、ペロブスカイト太陽電池の効率を向上させる副産物を発見
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参考記事:POSTECH研究チーム、「コア@シェル」ナノ結晶によりプラズモン光触媒の性能向上技術を開発

提供元・コリア・エレクトロニクス

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