目次
山舩氏が選ぶ!水中考古学上貴重なダイビングポイントベスト3
・第3位、ミクロネシア連邦(チューク諸島)
・第2位、アメリカ北東部シャンプレーン湖
・第1位、クロアチア共和国 パグ島
山舩氏が選ぶ!水中考古学上貴重なダイビングポイントベスト3
世界の海で活躍する山舩氏に、考古学上貴重なダイビングポイントを3つほど伺った。これから紹介する場所はどれも観光目的でダイビングできるというから、ぜひ行ってみたい!歴史好きはとくにお見逃しなく!
第3位、ミクロネシア連邦(チューク諸島)
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山舩氏 第3位は、太平洋戦争時に日本海軍の拠点があったミクロネシア連邦のチューク諸島(旧トラック諸島)です。記述によれば、撃ち落された200機以上の飛行機と約50隻の大型船が水底に眠るとされています。大型船については、マルチビームやソナーなどの探索技術を活用することで多くが発見に至っていますが、環礁内にある飛行機についてはまだまだ未発見のものも多いはずです。
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こういった一か所に数多くの水中遺跡が集中している例は少なく、貴重です。戦争から80年近く経った今でも、実際に触れながら歴史について考え、知ることができる遺跡ですから、たくさんの日本人に行ってもらってダイビングを楽しみつつも、日本から遠く離れた場所で亡くなった方々のために手を合わせていただければと思います。
第2位、アメリカ北東部シャンプレーン湖
山舩氏 第2位は、アメリカ合衆国北東部のバーモント州にあるシャンプレーン湖です。ここにはアメリカ最古の蒸気船や独立戦争時の木造戦艦がそのままの姿で沈んでいます。アメリカ史や蒸気船の進化の歴史を辿るうえで重要な水中遺跡とされています。海に沈む木造船は、海水に生息する木材を食べるミミズのような姿をしたフナクイムシという海洋生物によって数年で朽ちてしまうところなのですが、シャンプレーン湖は淡水でフナクイムシが生息しないので船体の保存状態が良好です。
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ダイビングでは、約300年の時を遡って18世紀当時の木造船を拝むことができます。ただし、水温が一桁台とかなり冷たいので、ドライスーツ必須ですよ!
第1位、クロアチア共和国 パグ島
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山舩氏 第1位は、アドリア海に面したクロアチア共和国です。古代ギリシャやローマ帝国の町が点在し、豊かな考古学資料が眠る場所でもあります。
中でもクロアチアのパグ島、レタビス(レタビツァ)にある古代ローマの大型輸送船は、2017年にまだ盗掘者(トレジャーハンター)にまったく荒らされていない状態で発見されました。そんな貴重な沈没船遺跡がダイビングポイントとしても開かれている超貴重な場所です。
上の写真に写る積荷の「アンフォラ(ツボ)」は沈没した当時のままの位置で沈んでおり、ツボだけで全長約25m。そしてこの下に沈没船の船体が埋まっています。
さまざまな国と場所に水中考古学の仕事で行きましたが、水中で発掘を進めるにあたっては、作業に協力してくれるダイバーの存在が必要不可欠です。考古学者は基本的にダイビングがあまり上手ではありません。また、遺跡の第一発見者がダイバーであることは多いため、考古学者との連携が大切だと考えています。ぜひ、多くのダイバーに水中考古学を知っていただきたいです。
オーシャナ編集部は今後の山舩氏の活動にも注目していく予定。2022年は、3月~12月まで海外勤務が続くというので、結果報告が待ち遠しい。