自動車用バックミラーや光学薄膜製品を手掛ける日本の企業「村上開明堂」は、2月9日に次世代の非接触インターフェース・システムの開発状況を発表しました。
発表によると、新しいインターフェースには「空中浮遊映像」光学技術が用いられており、空中に浮かんだ映像に触れるだけで従来のボタンと同じような操作が可能とのこと。
目次
「空中浮遊映像」による非接触インターフェース
空中映像と空中高感度センシングの融合
「空中浮遊映像」による非接触インターフェース
コロナ禍では、トイレやエレベーターのボタンなど不特定多数が利用するインターフェースに触れることが感染の原因となり得ます。
また感染しなくとも、それら公共のボタンは清潔ではなく、多くの人から好まれません。
そのため村上開明堂は、空中浮遊映像技術の先駆者である「株式会社パリティ・イノベーションズ」と共同し、非接触型の次世代インターフェースを開発することにしました。
新しく開発された空中浮遊映像技術(FPT:Floating Pictogram Technology)は、ホログラムボタンを空中に浮かび上がらせることが可能です。
さらに浮かび上がった映像は従来のボタンと同じように機能します。ユーザーが映像にタッチすることで入力が決定されるのです。
現在、開発は最終段階にあり、装置サンプルの外部提供も2月から始まっているとのこと。
非接触FPTシステムの応用性は高く、様々な施設やエリア(病院・マンション・銀行・ショップ)での導入が期待されます。
空中映像と空中高感度センシングの融合
共同開発に携わったパリティ・イノベーションズは、もともと「パリティミラー」という空中浮遊映像技術を開発していました。
パリティミラーとは、下にある物体を反対側(上)の空中に浮かび上がらせるデバイスです。
通常の鏡が光を反射して虚像を作り出すのに対し、パリティミラーは特殊な構造によって透過&空中に光線を集めて実像化できるのです。
そしてこの技術に組み合わされるのが、村上開明堂が独自開発した「空中での高感度センシング技術」です。
空中で操作する指の位置を絞り込む高速応答センサーであり、現在特許出願中とのこと。
これにより、非接触センサーにありがちな「なかなか反応せずにイライラする」といった現象がなくなると考えられます。
つまり共同開発によって、物理インターフェースの操作反応により近い、「空中浮遊映像インターフェース」が生まれたのです。
村上開明堂は2022年の非接触FPTシステム量産化を目指しており、数年のうちに一般化する可能性があります。
SF世界で度々登場してきた「空中に浮かんだ映像キーボードをカタカタ入力する」夢が実現するのもそれほど遠くないかもしれませんね。
参考文献
japan is developing touchless, hologram-like controls for its high-tech toilets
提供元・ナゾロジー
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