海上の航路が国道になっていたり、歩行者のみが通行可能な階段国道など、日本各地にはさまざまな道路が存在します。
その中で唯一無二の存在で、ライダーからの人気の高い道路が、石川県羽咋市の海岸線に設けられた『千里浜なぎさドライブウェイ』です。
SSTR(Sunrise Sunset Touring Rally、列島縦断オートバイラリー)のゴール地点にもなっていて、ツーリング好きのライダーなら一度は走ってみたい場所でもあります。
目次
『千里浜なぎさドライブウェイ』とはどんなところ?
砂浜なのにバイクや自動車が埋もれずに走れる理由は……
『千里浜なぎさドライブウェイ』とはどんなところ?
この千里浜なぎさドライブウェイは、宝達志水町から羽咋市にまたがる全長約8kmの海岸のうち、約6km
が走行可能な道路となっています。
道路なので、バイク、自動車はもちろんのこと大型観光バスも走っているんです!
ちょっと驚きですよね。
そのバイクや自動車が走っているのを横目に、同じ海岸線では投げ釣りを楽しむ人がいるほど。とにかく、道路と言いつつも自由な砂浜なので、初めて走るとテンション上がることは間違いなし!
砂浜なのにバイクや自動車が埋もれずに走れる理由は……
バイクだったら問題なさそうですが、車重がかなりある観光バスでも砂浜を走れる理由はどこにあるのでしょう。
この理由は“砂”にあります。
千里浜の砂は粒子が細かく、水分を適度に含むと固く締まる性質があるのです。
だから海水で湿っている部分はスタックせずに走れますが、
陸側の完全に乾いているサラサラしている砂のところを走ってしまうと、
途端にタイヤを取られ場合によってはスタックすることも!
かといって、波打ち際は路面が柔らかく同じくスタックしやすいので注意が必要です。
他のバイクや自動車が走っているところなら問題ないので、
あまりはめを外さず走りましょう!
将来は走れなくなるかも!?
海岸線を走る爽快感は、この『千里浜なぎさドライブウェイ』ならでは。
でも、将来はこの道路が走れなくなってしまうかもしれないのです。
その理由は、気候変動や海面上昇、手取川ダムをはじめとするダム建設による土砂供給の減少によって、海岸線の砂が年々減少しているから。
年平均約1mのペースで海岸線は減少し、その対策として2012年には砂を大量に投入し海底にコンクリートの壁を設置。その甲斐あって2019年には平均約2m回復したそうです。
前述した通り千里浜の砂は粒子が細かく、どんな砂でもOKという訳にはいきません。
千里浜再生プロジェクトで使用していた金沢港の砂が枯渇し、新たな対策が必要となっています。
石川県としても貴重な観光資源であり、最善を尽くしていますが悩ましい問題です。
「いつか千里浜を走りたいなぁ」と思っているなら、早く訪れた方がいいですよ!
海岸侵食は千里浜だけじゃない!
海岸線が減少しているのは千里浜だけではありません。
・北海道 野付崎海岸
・青森県 烏沢海岸
・茨城県 鹿島海岸
・千葉県 九十九里海岸
・静岡県 清水西海岸
・島根県 和木波子海岸
といったところも、海面上昇、ダムの建設、防波堤等の整備で砂浜が失われているのです。
千里浜なぎさドライブウェイを走る時に注意点
海岸線の砂の上を走れる道路だけに、注意したいポイントがいくつかあります。
羽咋市のHPに記載されている下記の3点は特にちゃんと守りましょう!
1.速度を落として走行!
千里浜なぎさドライブウェイは、海水浴シーズンには安全のために海側にロープを張り、道路標識が立てられ臨時交通規制(速度・追越しの制限)がかかります。
2.横断者・飛び出しに注意!
お子さんをはじめ横断者が多数いますので、速度を落とし、十分注意して運転してください。 また、砂浜の幅が狭くなっているところもあります。事故のないよう、譲り合って走行しましょう。
3.駐停車はきめられた場所で!
海水浴シーズン中、砂浜がローピングされており、海側から順に
「海水浴エリア・駐車場」「通行帯(千里浜なぎさドライブウェイ)」となります。 陸側の砂が乾いて白くなっている部分は、タイヤがはまりやすいのでご注意ください。
※出典:石川県羽咋市