2020年4月、ベルゲン大学博物館の考古学者モーテン・ラムスタッド博士らによって、ローマ鉄器時代(西暦100年~400年)の古代ゲームが発掘されました。
これらはノルウェー西部のイトレフォッセ村近くの墓地遺跡に遺品として埋葬されていたものであり、当時の状況や他のゲームとの関連性を明らかにしています。
ノルウェーで古代ローマのボードゲームが発掘される
発掘されたのは、古代ローマのボードゲームの一部である18個の駒と4個のダイスです。
駒のうち全体が残っているものは13個で、残りの5個は破損していました。
また、これらと一緒に発掘されたダイスは立方体ではなく縦長のものでした。このダイスにはいくつかの円記号が付けられており、0、3、4、5の値が記されています。
現代とは異なり、古代のボードゲームはエリートや貴族などの上流階級だけが楽しむものでした。
なぜなら、エリートたちだけが、戦略的思考のための「贅沢な時間」を有していたからです。
今回はノルウェーの墓地から遺品としてボードゲームが見つかったのであり、埋葬されていた人が高い地位にあったことを示唆しています。
古代ゲームの類似性
ノルウェーの考古学者たちがこのゲームのプレイ方法を推測したところ、古代ローマの戦略ボードゲーム「Ludus latrunculorum」に基づいている可能性があると判明。
「Ludus latrunculorum」はチェスやチェッカー(ドラフツ)と似た盤と駒を使ったボードゲームだと考えられています。
軍事戦術のゲームだと考えられていますが、情報が不足しているためゲームルールには様々な解釈があるようです。
また、「Ludus latrunculorum」自体も、いくつかの初期ギリシャゲームの変形だと考えられています。
今回発見された古代ゲームに関しても謎は多いようですが、現代のボードゲームとの共通点を多く確認できます。
ラムスタッド氏によると、「約2000年前のゲームの発見は、信じられないほど魅力的です。それは、当時の人々が私たちと大きく異なっていなかったことを教えてくれます」とのこと。
また、「ノルウェーで古代ローマのゲームが見つかった」という事実は、鉄器時代の指導者たちの戦争と交易のレベルを知り、入ってきたローマ文化との統合の様子を確認するのに役立つでしょう。
ゲームの駒とダイスは、ベルゲン大学の研究室で保存・研究される予定です。
この発見は5月4日、「archaeology」に掲載されました。
reference: ancient-origins / written by ナゾロジー編集部
提供元・ナゾロジー
【関連記事】
・ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見 生首から心臓まで再生できる(日本)
・人間に必要な「1日の水分量」は、他の霊長類の半分だと判明! 森からの脱出に成功した要因か
・深海の微生物は「自然に起こる水分解」からエネルギーを得ていた?! エイリアン発見につながる研究結果
・「生体工学網膜」が失明治療に革命を起こす?
・人工培養脳を「乳児の脳」まで生育することに成功