データ連携で、他事業とのシナジーを生みだせるか

コロナ禍で好調のゴルフダイジェスト・オンライン ブームの先に見据える成長戦略とは
(画像=リテールビジネスユニット ユニット長の坪井春樹氏,『DCSオンライン』より 引用)

ビギナーユーザーの増加もあって好調を維持しているGDO。しかし、もともとゴルフ人口は人口動態に比例して推移しており、最大のボリュームゾーンだった「団塊の世代」が後期高齢者に差し掛かるなど、長く需要を支えてきた顧客が失われつつある。「その減少幅をカバーできるだけの新規需要は見込みにくい」と坪井氏は率直な課題を語る。「今回増加した女性ビギナー層も、コロナ禍で止まっていた旅行需要から一時的に流れてきたという観測もあり、景気が回復したら元に戻る可能性は大いにある」(同)

 目下、GDOが重視するのは「新規」より「継続」だ。コロナ禍を機にゴルフを始めたビギナー層に、いかに長くゴルフを続けてもらうかに力点を置いている。そのためのカギとなるのが、データの活用だ。2000年の創業以来、「インターネットを通じて、ゴルフの変革をリードする」との理念を掲げ、ゴルフ場予約・ゴルフメディア・ゴルフ用品販売の「トライシクルモデル」という唯一無二のビジネスモデルによって成長を遂げてきた。今後はその3事業間のシナジーをより高めていきながら、ネットとリアルを融合した新たな顧客体験を模索している。「ゴルフクラブもヘッドとシャフトの組み合わせをカスタムするなど、サービスがパーソナライズ化されつつある。データを活用しながら、ユーザーの特性やニーズに合わせてサービスをパーソナルに最適化していく必要がある」(同)

 また、「トップトレーサーレンジ」という弾道測定器の活用にも力を入れている。ゴルフ場に設置することで飛距離や弾道の角度、スイング軌道などのデータを測定することができる。このトップトレーサーレンジで取得したスイングのデータをもとに、ECサイトで最適なゴルフクラブを提案する、といったように、GDOが今後実現する顧客体験の可能性は広がる。

 「接待ゴルフ」「敷居が高い」「おじさんのスポーツ」といったイメージもいまだに根強いゴルフ業界。コロナ禍を機に“救世主”となった若年女性ビギナー層を囲い込み、長くゴルフを続けてもらうためにも、業界に革新を起こし続けてきたGDOの「次の一手」に期待が高まる。

提供元・DCSオンライン

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