商品やサービスの宣伝にはTwitterやInstagramなどSNSの利用が欠かせない時代だが、ノウハウ不足など課題を感じている企業も少なくない。Twitterのビジネス活用は「実感がない」との声も一定数ある。実情や効果的な利用方法を探る。

企業はどのようにTwitterを活用している?

企業向けのSNSマーケティング支援などを手掛けるテテマーチは「Twitterの企業活用における課題と成果実感に関する調査」を実施した。調査期間は2022年2月〜3月で、同社のメルマガを購読している企業を対象としている。

Twitterに使う予算・人数・時間の規模は?

調査により、企業のTwitter運用に掛ける予算・人数・時間といったリソースは、いずれも比較的小規模だと明らかになった。

Twitterにかけられる月の予算は「1万円未満」が最多で45.3%。人数(運用に関わるメンバー数)は「1人以下」が52.8%と、回答の半数以上を占めた。1週間にどのくらいの時間をかけているかは「30分~2時間未満」が最多で37.3%だった。

Instagramとの違い

同社は2021年12月〜2022年1月に、企業のInstagram活用に関しても調査を行なっている。今回の調査との比較から、Twitterとの利用実態の共通点・違いが浮き彫りになった。

<Twitter・Instagram運用における実態(最多・次点の回答項目と割合)>
Twitter Instagram
予算(月あたり) 1万円未満(45.3%) 1万円未満(36.5%)
1万〜5万円(27.3%) 1万〜5万円(18.6%)
人数 1人(52.8%) 2人(28.5%)
2人(28.6%) 1人(25.9%)
時間(週あたり) 30分〜2時間(37.3%) 30分〜2時間(24.8%)
30分未満(26.1%) 2〜4時間(23.7%)

ビジネス貢献「実感なし」が2割

調査結果では、「Twitterが自社のビジネスに貢献しているか」に対する回答(0~10の11段階評価)で「0(実感なし)」が最多で19.3%であった。一方、最高評価の「10(実感あり)」は2.5%にとどまった。中間の「5」は2番目に多く、18.6%だった。

Twitterを通してのウェブサイトへの流入数やフォロワー数、来店客の増加など、成果を感じているとの声もある。しかし約2割が「実感なし」と回答していることから、十分に活用できていない企業も多いようだ。

Twitter運用の課題は?

調査結果では、担当者が感じる「運用上の課題」として以下のような回答が目立った。

・ノウハウや知識が不足している:65.2%
・兼業状態でTwitterだけに集中できない:50.3%
・データの分析や考察ができていない:45.3%
・人手が足りない:37.9%
・時間がない:37.9%

担当者がもっと労力を費やしたくても、最適な方法を見出せていなかったり、新たなリソースを割く根拠となるほどの効果が実感できていなかったりする現状もありそうだ。

Twitterの効果的なビジネス活用方法は?

Twitterは日本でのユーザー数が多く、なじみが深い。情報をタイムリーに発信できる場であり、トレンドテイクオーバーや他のSNSを追随するコマース系機能など、ビジネス活用の機会も多いはずだ。具体的に効果的な利用方法はあるのだろうか。

トレンドテイクオーバーやハッシュタグで「バズらせる」

Twitterで商品PRが成功した事例では、トレンドと連動して広告を表示する「トレンドテイクオーバー」の利用がある。Twitterのトレンドが集まる「話題を検索」タブに表示されることで、多くのユーザーの目に触れ、話題のきっかけとなることができる。

さらに、キーワードやトピックを分類する「ハッシュタグ」もTwitterの文化に欠かせない。広告と連動し、目にしたユーザーが思わずクリックしたくなるようなハッシュタグを付け、拡散や新たな投稿を促す効果がある。

「Z世代」ユーザーを取り込むことも重要

Twitterで積極的にアプローチしたい対象は、いわゆるデジタルネイティブ「Z世代」だ。彼らは情報収集やショッピングの主な方法としてインターネットを活用している。つまり、SNSによる宣伝が商品やサービスの購入につながりやすいというわけだ。

Z世代で特徴的なのは、DM機能などを使った双方向のコミュニケーションの積極的な利用や、画像検索やスクリーンショットを多用して欲しいものを探すことだ。従来の「お客様窓口」とは異なり、SNSアカウントを通じた問合せなどへの個別対応がユーザーのブランドイメージに響くこともある。また、文章だけでなく画像や動画を多用した視覚的なアプローチも欠かせない。

SNS宣伝の欠かせない時代、最適な活用方法を

かつてはテレビCMや紙媒体での広告が主流だったが、今やインターネットでのPRは不可欠だ。中でも双方向のコミュニケーションや拡散機能を生かしたSNSの利用は、ユーザーとの距離を縮めたり、思わぬ「バズり」を生んだりするチャンスもある。企業にとっては課題も多いTwitterだが、より良い活用方法を見出し最適なリソースで効果を得たい。

文・MONEY TIMES編集部