人間の弱さが見事に描かれている

わたしたち人間は弱い。弱いがゆえに、他者に自分の欲望を勝手に見出してひとり相撲をしてしまう。他者も自分のようにあるべきだと信じて疑わない。

主張もする前から自分の期待することをしてもらえず勝手に傷つく。指示が不明瞭で思うように他人が動かなかったことに怒り出したりする。こういう人は、多い。

他者というものを、経営を通して身をもって知ったのが、「ゲンロン戦記」の白眉だと私は勝手に思う。

頭はいいが理論ばかり先行する哲学ではなく、現実を反映させた哲学のさらなる発展を見てみたい。

本書の編纂をした石戸諭の手腕も評価したい。石戸でなければここまで赤裸々で冒険に満ちた告白にはならなかっただろう。

文・アゴラブックレビュー

文・アゴラブックレビュー/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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