電気自動車1位のテスラを筆頭に完成車・バッテリー製造企業がそろって円筒形バッテリーを増やしている状況で、韓国の後発ランナーであるSKオンだけが別の道を歩んでおり、関心が集まっている。韓国メディア「dailian」が報じた。(写真:SKオンの研究員がパウチ型バッテリーを持っている様子=SKオン)

円筒形の代わりにパウチ・角形に重心を置くという計画で、このような戦略が未来のバッテリー市場で通じるか注目される。

20日、業界によると、最近LGエナジーソリューションとサムスンSDIは円筒形バッテリー生産能力(CAPA)を拡大している。需要が大幅に急増するものと予想される円筒形バッテリー市場に対応するためだ。

LGエナジーソリューションは今月13日、梧倉(オチャン)第2工場に5800億ウォン(約607億円)を投資し、計9GWh(ギガワット時)規模の円筒形バッテリー4680量産設備を構築することを決めた。

サムスンSDIも忠清南道天安(チュンチョンナムド・チョナン)工場に円筒形バッテリーを量産できるパイロットラインの増設を検討している。サムスンSDIの中大型円筒形バッテリーの大きさは、4680バッテリーとほぼ同じか、これより長いものと見られる。

業界は両社の円筒形バッテリー生産がテスラを狙ったものと推定する。テスラが2020年に4680バッテリーの採用を予告したという点からだ。

円筒形バッテリー市場は日々成長している。SNEリサーチによると、円筒形バッテリーの需要は昨年の83億6000万セルから今年は106億6000万セルへと約27%増加するものとみられる。2030年には285億8000万セルで、同期間168.1%増加するものと期待される。

これに対し、世界のバッテリー市場シェア1位のCATLまでもが、円筒形バッテリーを開発すると乗り出した状況だ。CATLは2025年に生産されるBMWの新型電気自動車に「円筒形」バッテリーを供給する予定だ。

一方、SKオンは円筒形バッテリーに関心を持っていない。円筒形はパウチ・角形と比較して競争力が低いという理由だ。

SKオン関係者は「既存に円筒形バッテリーをしてきた会社にはある程度メリットがあるだろうが、我々から見ると円筒形バッテリーのフォームファクターが優れていないと判断した」と説明した。

SKオンのこのようなバッテリー戦略に業界は半信半疑だ。今年第1四半期の国内バッテリー会社の業績改善は、円筒形バッテリーの販売好調のおかげだったからだ。

今年第1四半期の対内外の経営環境の不確実性にもかかわらず、LGエナジーソリューションとサムスンSDIは円筒形バッテリー供給量の増加で善戦した成績を収めた。円筒形バッテリーを搭載するテスラなど電気自動車メーカーの車両販売が増えた影響だ。電気自動車の需要増加に支えられ、下半期にも円筒形の販売好調が予想される。

テスラなどがグローバル市場で攻撃的にシェアを伸ばしているだけに、円筒形バッテリーを作るLGエナジーソリューションとサムスンSDIの収益は今後も堅調になるものと予想される。中長期的に見れば、円筒形バッテリーを量産しないSKオンとの格差が広がるだろうという観測が出ている。

韓国自動車産業協会の報告書によると、テスラは昨年に104万5072台を販売し、2020年に続き1位を維持した。2位のフォルクスワーゲングループは70万9030台水準だ。

一部ではSKオンが円筒形は競争力が低く採用していないと話しているが、内部的にはやむを得ない選択だと解釈することもある。後発走者として円筒形開発に参入するにはすでに長いノウハウを積んだライバル企業に押されるだけでなく、パウチ・角形の新増設だけでも投資費用が侮れないためだ。

バッテリー業界の関係者は「円筒形バッテリー市場需要が増加したからといって無条件に全てしなければならないということはないが、今後の市場対応において不利になることはありうる」としながらも「それでもSKオンだけの戦略として、放棄することは放棄し、強みになる分野に集中しながら対応策を作ることもできる」と述べた。

提供元・コリア・エレクトロニクス

【関連記事】
韓国の双竜自動車が日本で販売?「ヒュンダイも撤退したのに…」 韓国紙が関心
韓国がパワー半導体のSiC素材検査技術を国産化…「日本の半分のコストで開発」
LGグループが日本法人社屋を約200億円で急遽売却へ
米特許登録数 IBM1位、サムスン2位、LG3位、4位キャノン
フォルクスワーゲンが韓国二社とのEV電池取引を打ち切りか…特許紛争に嫌気?