トレッキングロードまでの道のり
礼文島に到着後、港近くの宿の周囲を見渡すと人の行き来はほとんどないものの、思いのほか密集した集落となっていて少し安心した。だが気軽に食料を買えるような商店がない。島の滞在時間が短い方は、あらかじめある程度の食糧や飲み物は準備しておいた方がいいかもしれない。
次の朝、いよいよトレッキングロードの出発地点にローカルバスで向かう。他の路線もそうなのだが、この路線も本数がかなり少ないので、トレッキング開始時間に合わせて乗り過ごさないように注意が必要だろう。
憧れのトレッキングロード
数十分バスに揺られ、島の最北端に近いトレッキングロード入り口に到着、バスを降りるとそこにはまさに「日本最果ての地」という言葉そのもの、9月初旬だというのにまるで冬のような荒れた海が目の前に広がっていた。天候は最高だが、強風の中を数時間後に訪れるゴール目指して出発、上り下りを繰り返しつつ海沿いの道を歩いてゆく。
数か所、断崖絶壁の細い道を歩くときは、強風が吹きやむタイミングを計りながら、スリル満点で通り抜ける箇所もあったりで、冒険心をくすぐられた。もうシーズンオフなのだろうか、トレッキングをしている人の姿をほとんど見ることもなく、大自然独り占めといった感じのぜいたくな時間を過ごすことができ、最高のトレッキングとなった。
礼文島とのお別れ
最高の気分で宿に戻ってみたら、なんと明日のフェリーの欠航が決定していた。確かに海は荒れていたが、案外あっさり欠航が決まるんだなと、日本最北の地のルールを思い知った。そして思わぬ形で礼文島に一日足止めを食らったわけだが、新千歳からのフライトは一日予備日を設けていたため予定通り乗ることができた。沖縄などもそうだが、島の旅は天候に左右されることが多いので、礼文島を訪れる際もやはり日程には十分に余裕を持って計画したほうがよさそうだ。
何はともあれ無事に帰路につき、札幌へ向かう長距離バスの中で左右に広がる雄大な大地を見ながら、きっと他では体験できない時間に満足しながら、北海道の素晴らしさを再確認した。今度また訪れるときは、礼文島の隣の利尻島での登山にチャレンジしてみたいなと、心はもう次の旅に向かっていた。
提供元・北海道そらマガジン
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