光の奥に潜む小さなブラックホールの群れ
ブラックホールを直接見るということはできません。
そこで今回の研究チームは、星団内の星の速度を利用して、星団の総質量と目に見える星の分布やブラックホールの場所を特定しようとしました。
理論上は、質量の大きい場所では、星はその周りよりも速く移動すると考えられます。
この結果、星団の中心に見えない余分な質量の証拠が見つかりました。しかし、それは驚いたことに、「点状」ではなく、広い範囲に散らばっていたのです。
その範囲は星団のサイズの数%にも及ぶものでした。
この目に見えない成分は、質量や範囲、場所を考えると、恒星質量ブラックホールの集まりと判断するのが妥当なようです。
つまり、球状星団は1つの中間質量ブラックホールがコアとなって形成されているものではなく、恒星質量ブラックホールの集まりが作り出しているものだったのです。
今回の研究は、その最初の証拠となるものを発見したのです。
これは研究者にとって期待したものとは異なる発見ですが、非常に驚きに満ちた発見であることは確かです。
また今回の発見は、密集したブラックホールの群れが結合すれば、地球にあるレーザー干渉系重力波観測所(LIGO)によって検出できるため、注目を集めています。
球状星団の中心には、ブラックホールの群れが潜んでいるというのは、なんだかゾクゾクする話です。
参考文献
hubblesite
ESA
元論文
Does NGC 6397 contain an intermediate-mass black hole or a more diffuse inner subcluster?
提供元・ナゾロジー
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