目次
光の奥に潜む小さなブラックホールの群れ

光の奥に潜む小さなブラックホールの群れ

「小さなブラックホールの群れ」があらわれた! 球状星団の中心にあるのは、1つの大きなブラックホールではなかった
(画像=球状星団の中心には複数の小さなブラックホールが集中している証拠が見つかった。 / Credit:ESA/Hubble, N. Bartmann,『ナゾロジー』より 引用)

ブラックホールを直接見るということはできません。

そこで今回の研究チームは、星団内の星の速度を利用して、星団の総質量と目に見える星の分布やブラックホールの場所を特定しようとしました。

理論上は、質量の大きい場所では、星はその周りよりも速く移動すると考えられます。

この結果、星団の中心に見えない余分な質量の証拠が見つかりました。しかし、それは驚いたことに、「点状」ではなく、広い範囲に散らばっていたのです。

その範囲は星団のサイズの数%にも及ぶものでした。

この目に見えない成分は、質量や範囲、場所を考えると、恒星質量ブラックホールの集まりと判断するのが妥当なようです。

つまり、球状星団は1つの中間質量ブラックホールがコアとなって形成されているものではなく、恒星質量ブラックホールの集まりが作り出しているものだったのです。

今回の研究は、その最初の証拠となるものを発見したのです。

これは研究者にとって期待したものとは異なる発見ですが、非常に驚きに満ちた発見であることは確かです。

また今回の発見は、密集したブラックホールの群れが結合すれば、地球にあるレーザー干渉系重力波観測所(LIGO)によって検出できるため、注目を集めています。

球状星団の中心には、ブラックホールの群れが潜んでいるというのは、なんだかゾクゾクする話です。


参考文献

hubblesite

ESA

元論文

Does NGC 6397 contain an intermediate-mass black hole or a more diffuse inner subcluster?


提供元・ナゾロジー

【関連記事】
ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見 生首から心臓まで再生できる(日本)
人間に必要な「1日の水分量」は、他の霊長類の半分だと判明! 森からの脱出に成功した要因か
深海の微生物は「自然に起こる水分解」からエネルギーを得ていた?! エイリアン発見につながる研究結果
「生体工学網膜」が失明治療に革命を起こす?
人工培養脳を「乳児の脳」まで生育することに成功