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直接崩壊説が一歩リード?

直接崩壊説が一歩リード?

この形成時の質量推定は、恒星を経由しないガス急の直接崩壊が原因という説を支持するものです。

ただ、この結果だけではまだ、どちらの説が正しいかを説明することはできません。

ブラックホールの成長速度の限界がどの程度であるのか決定できなければ明確にはできないからです。

ブラックホールが成長するには、ガスや恒星を巻き込んで自身に降着させる必要があります。しかし、多量の物質が周囲を高速で回ると、そのエネルギーから強烈な放射が起きて外向きに発散されてしまします。

こうした外向きの放射と、ブラックホールの重力が釣り合うとブラックホールの成長はそこで一旦ストップしていまします。これをエディントン限界といいます。

超大質量ブラックホールが初期宇宙に存在するためには、この限界を超えてブラックホールが成長する必要がありますが、それはかなりトリッキーな理論です。

超大質量ブラックホールの誕生を解明する手がかりが見つかる
(画像=超大質量ブラックホールの周りのガス状円盤の想像図。/Credit:慶應義塾大学,ALMA,『ナゾロジー』より 引用)

最終的な答えはもっとこのブラックホールをよく研究し、他にも同様のケースを見つけて統計をとっていかなければ明らかにはできないでしょう。

しかし今回の研究は、形成メカニズムがどうであれSMBHが太陽質量の50万倍から始まることができるということを示しました。

直接崩壊説の可能性をわずかに高め、より極端な説である、直接崩壊では非常に大きなSMBHしか生まれないという考えを除外することができました。

謎の多い超大質量ブラックホールの形成への理解は、少しずつ包囲の幅を狭めていっていると言えそうです。

この研究は、イギリスのガーディフ大学の研究者Timothy A Davis氏を筆頭とした研究チームより発表され、論文は『王立天文学会月報』に7月14日付けで掲載されました。

Revealing the intermediate-mass black hole at the heart of the dwarf galaxy NGC 404 with sub-parsec resolution ALMA observations

提供元・ナゾロジー

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