ウクライナのEU加盟候補国

今週はこの報道が奇妙に引っかかりました。ゼレンスキー大統領は喜んだようですが、加盟したわけではなく、加盟候補国に名を連ねただけです。実際にいつ加盟するかなどは神のみぞ知る話です。

最近加盟したブルガリア、ルーマニア、クロアチアは10-12年かかっています。トルコは1999年に加盟候補国に上がっているので23年も待っているのにまだ入れません。個人的にはウクライナがEUに加盟するには相当の長い道のりがあるとみてよいと思います。

そのハードルには民主主義の確立、経済市場の安定、法制度とその手続き論など様々あります。また財政に関してはユーロという単一通貨の規律のためには財政赤字3%以内、公的債務残高60%以内という具体的縛りもあります。

一方、ウクライナの2022年度のGDP予想はマイナス39%から60%とほぼ崩壊状態にあります。ここまで国家の経済基盤が破壊され、まだその先行きが見えないとすれば経済復興には天文学的な復興支援額が求められます。

もう一つはウクライナの政治的安定であります。数年先のことは闇なのです。プーチン氏やゼレンスキー氏がどうなるか、この戦争の結末がどうなるのか、誰もわからない中、一切の予想をすることは無意味に近いのです。

私には現在彼らがおかれている状況が日本が敗戦濃厚になっても大本営が振り上げるこぶしに惑わされたあの状況が重なるのです。そもそも同国には強い親ロシア派がいること、社会制度思想的にも欧州の主軸たる大陸北西部の国々とは相当違うように見えるのです。とすればこの加盟候補国から加盟に昇格することは藁をもつかむ話のようにすら感じてしまうのです。

後記
今年もこれで半分終わりました。来週は株主総会のピークで東芝が最大の注目になりそうです。どんなドラマが待ち受けているのでしょうか?

今年前半はとにかくいろいろなことがあり過ぎでした。本当の夏休みが欲しいと思っている人が案外多いのかもしれません。私も一週間ぐらい、携帯もなくパソコンもない晴れ渡る無人島で釣り糸でも垂れながら何も考えない充電時間が欲しいです。いやホントですよ。

では今日はこのぐらいで。

文・岡本 裕明

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年6月25日の記事より転載させていただきました。

文・岡本 裕明/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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