ダイビングを継続する上で、一緒に楽しめる仲間を見つけたい方はたくさんいるだろう。そして、そんな仲間を見つけることができる居場所として、ダイビングの目的や年齢層別にさまざまなダイビングサークルが存在する。
今回紹介する「マリントーク倶楽部」は、仕事や育児などで一度はダイビングから離れてしまったけど、またゆっくりダイビングを楽しみたい、海を近くに感じられる仲間に出会いたいという、ミドル&シニア層向けダイビングサークル。代表の松本 好朗氏(以下 松本氏)に、マリントーク倶楽部の魅力や、70年代からダイビング業界を盛り上げてきた松本氏の数々の取り組みなどについて、ざっくばらんにお話をお伺いした。
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50年間、ダイビング一色の人生。そのきっかけは戦時中にパラオの海を見た父の言葉だった。
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オーシャナ編集部(以下、――)松本さんは約50年間ダイビングを続けているそうですね。最初にダイビングと出会ったきっかけを教えてください。
松本氏 始めたきっかけは、戦時中にパラオに行き、初めて見た海外の海に感動した父親から、「お前も大きくなったらパラオの海を見てごらん」と言われたことでした。そして、10歳の時に、ダイビングショップの前をたまたま車で通った際に、「ダイビングをやってみたい」と父親に伝えました。最初にダイビングをしたのは神奈川県の真鶴(まなづる)の海でした。
――10歳の頃に松本さんとダイビングの人生がはじまったのですね。そこから、本格的にダイビングをやり始めたのはいつぐらいからだったのですか?
松本氏 Cカードを取得できるのが15歳からと聞いていたので、高校1年生になった時にCカードを取得しました。当時は「ダイビング=おじさんのやるスポーツ」というイメージが強く、女性ダイバーも少なかったですし、同世代にダイビングをする人も一人もいなかった。そこで、同年代の仲間が欲しいと思い、国内で最初の高校生だけのサークルを作りました。その情報をダイビング雑誌『マリンダイビング』の編集部の方に伝えたところ、「高校生だけのサークル、おもしろそうだね!応援するよ!」と言っていただき、誌面に高校生ダイバー特集として掲載していただきました。
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――「オジンダイバーはくたばれ!」というのは、すごく攻めた見出しですね(笑)!
松本氏 はい、この頃はダイビング雑誌も攻めた特集が多かったですね(笑)。いっぱい潜りたい高校生の私たちからしたら、1本ダイビングをしたら温泉に行ってご飯を食べて帰ってしまうシニアダイバーにギャップを感じていました。ですが、おじさんたちと一緒に行くと、「お前ら高校生でお金がないんだから、ご飯代ぐらい出してあげるよ」「車で一緒に連れてってあげるよ」と声をかけていただき、おいしい思いもさせてもらいました(笑)。
銀座の一等地にダイビングショップをオープン! 社会人時代にダイビング業界に新しい波を起こす
――高校生のダイビングサークル以降、大学生や社会人になってからはどのようにダイビングに関わってきたのですか?
松本氏 大学でも会社でも入ってすぐにダイビングサークルを作りました。また、当時からPADI、NAUI、CMASなどの指導団体で横のつながりがあまりなく、少し閉鎖的に感じたので、まずそれぞれの団体がどのように考えているのか、各団体から若手代表のインストラクターを出していただき『マリンダイビング』で座談会を開催していただきました。
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また、1992年には、当時在籍していたNTTにバックアップいただき、これらの大手指導団体すべてを網羅するダイビングショップを東京銀座のど真ん中に出店しました。実は、この頃から、現在のダイビングサークル「マリントーク倶楽部」にも使用している「マリントーク」というワードを使用しています。これには、「マリントーク=海を語り合う=海好きの居場所」という思いが込められています。
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