雲の形を眺めて、あの形はイルカに見えるとか連想することがありますが、はるか彼方の宇宙に目を向けたとき天文学者も同じような連想を楽しむようです。
米国パデュー大学の天文学教授であるMatthew Lister氏が遠くの活動銀河「を見て思ったのは、「スター・ウォーズ エピソード4でダースベイダーが乗ってた戦闘機に似てる」でした。
8月25日に『The Astrophysical Journal』で掲載された論文によると、この活動銀河「TXS 0128+554」は、地球から約5億光年の距離にあり、取り巻くガスがさまざまな周波数の電磁波を放って独特の形状を作り出しているとのこと。
Lister教授がダースベイダーの戦闘機を連想した銀河は、なぜこんな形をしているのでしょう?
目次
詳細な形まで観測された活動銀河「TXS 0128+554」
活動銀河核のジェット
詳細な形まで観測された活動銀河「TXS 0128+554」
「TXS 0128+554」はカシオペア座の方角に5億光年の離れた位置に見つかった活動銀河です。
活動銀河とは活発な星生成を行っているエネルギッシュな銀河のことで、その中心には太陽の10億倍近い超巨大ブラックホールが存在しています。
巨大ブラックホールの周囲では、重力の作用で塵とガスが降着円盤を作り、激しく摩擦を起こして電波波長、X線波長、ガンマ線波長など多様な周波数の光を放っています。
観測画像ではTIEファイターのコックピットにあたる部分がもっとも信号強度が強く検出されていますが、それはこの部分が活動銀河核なためです。
活動銀河核のジェット
ではこの形状になった理由は何なのでしょう?
こうした活動銀河核のブラックホールは、約10個に1個ほどの割合で、膠着円盤の両極からジェットと呼ばれる高エネルギー粒子を光速に近い速度で噴出させています。
ジェットが銀河の端にあるガスに衝突すると高エネルギー粒子が減速し、やがて銀河中心に向かって逆流し始めます。
このとき粒子は磁場を中心にらせん状に高速で移動し、広い領域に拡散します。それが戦闘機で言えば翼にあたる部分を作り出しているのです。
この領域を専門用語では電波ローブと呼びます。
強力な電波を放つ活動銀河核と、ジェットの噴出によって形成される電波ローブ。これがTIEファイターのような形状を宇宙に作り出した原理です。