“原点回帰”のワークマンプロ

コロナ2年目でも業績絶好調、快進撃続くワークマンの懸念材料とは
(画像=『DCSオンライン』より 引用)

店舗開発については、22年3月期も積極的な店舗展開を推進し、ロードサイド35店・ショッピングセンター内5店を新規にオープン。期末店舗数を944とした。

業態別には、「#ワークマン女子」をロードサイド中心に10店舗を出店し、12店舗体制とした。新業態も立ち上げており、21年12月にプロフェッショナルの職人向け店舗「WORKMAN Pro(ワークマンプロ)」の1号店を東京都板橋区前野町にオープンしている。

もともと同社は、1982年に職人向け作業服の専門ショップとしてスタートした。SNSを見ると「最近はワークマンに入りづらくなった」「ワークマンがすっかり変わってしまった」との意見も聞かれる。「ワークマンプロ」は、そうした昔からのファンの声に応え、原点回帰をめざした店舗だ。

店舗の内外装は職人向けにしつらえ、従来顧客だけでなく若い作業者も取り込んでいく。同社では今後、既存ワークマンのうち職人向け衣料・用品が売れている店舗を、「WORKMAN Pro」に改装していくとしている。

既存店の成長鈍化が懸念?

23年3月期の業績予想では、営業総収入が対前期比6.7%/前期から78億円増の1241億円、営業利益が同8.7%減/同23億円減の244億円、当期純利益が同8.3%減/同15億円減の167億円を見込む。減益予想となるものの、それでも売上高営業利益率は19.7%ときわめて高い水準を維持する見通しだ。

順風満帆なワークマンの業績だが、あえて懸念材料を挙げるとすれば、それは既存店平均年商伸び率の鈍化である。18年3月期の9991万円から、19年3月期:1億1251万円(同12.6%増)、20年3月期:1億3975万円(同24.2%増)、21年:1億6025万円(同14.6%増)と大きく伸びてきた既存店平均年商だが、22年3月期はこれが同1.5%増とスローダウンしている。北海道・西日本エリアなど、出店が遅れた地域では前年割れも目立ち始めた。開店2年目以降の売上高の維持が、同社にとっては悩みの種のようだ。

仕入価格の上昇も懸念材料だ。原材料価格や物流費が高騰し円安が進行する中で、仕入れコスト負担が収益を圧迫する。一方で、賃金が上がらない中で国内における消費マインドは低いままだ。

消費者がワークマンに求めるのは、「手ごろな価格で手に入る」機能性だ。安易な値上げは客離れのリスクを伴う。そうした中でワークマンは、粗利益率の高いPB開発を促進することで、価格据え置きと収益確保を両立する構えだ。

ワークマンは中長期で1500店の店舗展開を目標に掲げえている。1500店といえば、現在の5割増しの水準。既存店の体力を維持しつつ、コスト負担を乗り越えて成長を持続できるか。ワークマンの挑戦に期待したい。

提供元・DCSオンライン

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