FRB(米連邦通貨準備制度理事会)は、FOMC(米連邦公開市場委員会)の開催後の6月15日に0.75%という異例の政策金利の利上げを発表した。約30年ぶりの大幅な利上げである。5月3〜4日の開催のFOMCでは、これまでの2022年12月末までの合計0.25%×7回=1.75%の利上げを、050%×3回&0.25×4回=2.5%の利上げへシフト。そして今回のFOMCでは、0.50〜0.75%の利上げ幅を発表したことから、2022年12月末では、ニッセイ基礎研究所の予想によれば、7月に0.75%引き上げ、9月に0.5%引き上げ、11月と12月に0.25%の引き上げで2022年年末には政策金利は3.25%〜3.50%に引き上げられるという。年内に3.4%程度に達する可能性が出てきた。当然こうした大幅な利上げは住宅ローン、クレジットカード、その他のローンの借り入れコストの上昇につながり、家計にも及び。史上最悪のインフレを抑えるための金利アップによる金融引き締めだが、消費活動への影響も出て来そうだ。失業率や経済成長率を犠牲にしてでも異常なインフレを抑え込もうというのがFRBの狙いだが、これはかなりハイリスクな荒治療である。

何よりも、こうした債権の利回りアップにより、株から債券へのマネーの移動が本格化するのは避けられない。

この0.75%幅の利下げがFRBによって発表された6月15日は、ニューヨークダウ平均株価は5日連続の大幅下落の後に303ドル70セントの上昇を見せた。「この0.75%の利上げはすでに織り込み済み」と強気の解説があるが、その翌日の6月16日には「倍返し」の741ドル46セント安でついに2020年12月以来、3万ドル台を割り込んでしまう。次の6月17日金曜日に3万ドルを回復して翌週を迎えられるか注目されたが、市場にそのパワーはなく38ドル29セント安の2万9888ドル78セントで商いを終わっている。

実はアメリカの0.75%利上げ発表の前日には、スイス国立銀行が15年ぶりの政策金利引き上げ、さらにイングランド銀行でも5会合連続となる0.25%の利上げを発表している。特に低金利国のスイスの政策金利の引き上げは注目だ。スイスで調達した低金利マネーで米国株を買うという「裏技」が通用しなくなるからだ。

悲観派は、「こうした金融引き締めによって、歴史上のほとんどの株バブルは終焉してきた。どうも今回もその一例になる可能性が出て来た。もちろんその原因になった事は、ロシアによるウクライナ侵攻がもたらした猛烈なインフレだとしたら、今回の株バブル崩壊はウクライナ・ショックとかプーチン・ショックと語り伝えられることになるかもしれない」と話す。

もちろん楽観派もいる。「今回の相場の開始は、新型コロナウイルスの本格化が避けられない情勢であることが明らかになった2020年3月20日だ。3万ドル目前だったNYダウが2万ドルを割り込んで1万9173ドル98セントで終わった日だ。3万ドルを割り込んだからと言って驚くには値しない。極端なことを言えば、2万ドルを割り込まない限り、大丈夫」。

いずれにしても、2020年3月20日から1年3カ月続いた上昇相場が一旦終わったことだけは確かだ。ここから3万ドルを境にしたもみあいの相場になるのか、株バブルが弾けた長期ダウントレンドに入っていくのか、次のFOMC会合がある7月26、27日までどんな展開になるのか。なおFOMCは8月と10月に会合はなく、年内は9月20、21日、11月1、2日、12月13、14日に開催される。

6月20日月曜日は奴隷解放記念日で市場は休みだったが、6月21日火曜日の相場は一気に641ドル47セント上げて3万530ドル25セントで終わって3万ドルの大台を回復している。NYダウ平均の3万ドル攻防戦がしばらく続きそうだ。

文・三浦彰/提供元・SEVENTIE TWO

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