イカは、広い視野やカモフラージュなど、数々の驚くべき身体能力をもっていますが、最新研究により、頭脳面での新たな能力が発見されました。

台湾・国立清華大学によると、イカは、好物のエビが1匹入った部屋と2匹入った部屋を用意され、前者を選ぶと追加で報酬がもらえる場合、2匹の部屋を我慢することが判明したのです。

これは、イカが学習により報酬システムを理解できることを示しています。

研究は、昨年の12月16日付けで『Royal Society Open Science』に掲載されました。

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イカは目先の利益より、のちの報酬を選んでいた⁈

イカは目先の利益より、のちの報酬を選んでいた⁈

イカの認知能力については、これまでにも多くの研究がされてきました。

例えば、イカは、夜間にエサが安定して与えられることを知ると、日中の捕食行動が大きく減らします。

研究チームは、これをさらに押し進めて、「マシュマロテスト」に似た実験を行いました。

マシュマロテストとは、子供の自制心と報酬に関する有名な試験です。

子供の目の前にマシュマロを一つ置き、試験者が帰ってくるまでの15分間食べるのを我慢できたら、マシュマロがもう一つ得られます。

イカは「マシュマロテスト」に合格できると判明! 目先の利益をガマンする学習能力をもっていた
(画像=Credit: STICKPEN/WIKIMEDIA COMMONS、『ナゾロジー』より 引用)

今回は前段階として、イカの目の前に好物のエビが1匹入っている部屋と、何も入っていない部屋を用意し、前者の部屋に入ると追加でエビを1匹与える実験をしました。

これを6回繰り返し、イカに報酬が得られることを学ばせます。

その後で、エビ1匹の部屋と、2匹の部屋を用意し、どちらを選択するかを調べました。

すると、報酬システムを理解したイカは、2匹より1匹のエビが入った部屋を選んだのです。

イカは「マシュマロテスト」に合格できると判明! 目先の利益をガマンする学習能力をもっていた
(画像=実験のイメージ図 / Credit: royalsocietypublishing、『ナゾロジー』より 引用)

報酬の訓練を受けていなかったイカは、1匹でなく2匹の部屋を確実に選択したことから、種としてエビを1匹ずつ食べる習性があるというわけではありませんでした。

訓練を受けたイカだけが、明らかにあとでもらえる報酬を期待していたのです。

研究主任のチュアン・チン・チャオ氏は「最終的に得られるエビの数は同じですが、イカに関しては、報酬が得られるという選択の方により重きをおいているようです」と述べています。

また、学習の効果は、最初の訓練から1時間以上が経過しても持続していました。

イカは、単に目先の利益を優先するのではなく、高度な記憶力と学習能力をもって世界を見ているようです。

提供元・ナゾロジー

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