SUVブームが続く中、2017年12月に登場したマツダCX-8によって脚光を浴びた3列シートSUV。国産車でも以前からトヨタランドクルーザーや三菱パジェロにも設定されていましたが、それほど注目度は高いとは言えず。それは大きなボディサイズが必要となる3列シートSUVは輸入車の人気が高いことも一つの要因と言えます。そこで、今回は輸入車の3列シートSUVの中から、独自の個性を主張するキャデラックエスカレードをカーライフ・エッセイストの吉田由美さんとモータージャーナリストの鈴木ケンイチさんに試乗してもらい、その魅力について語ってもらいました。
対談:吉田由美&鈴木ケンイチ 写真&まとめ:萩原文博
吉田由美氏と鈴木ケンイチ氏が持つ、"アメ車"のイメージとは
CarMe(以下:C)昭和の時代は輸入車というとアメリカ車というイメージでしたが、平成になって輸入車=ドイツ車というイメージが強くなったような気がします。
鈴木ケンイチ(以下:鈴木)それは言えます。昭和に放映されたテレビドラマ(刑事モノ)の再放送を見ていると、輸入車というとアメリカ車ばかりでした。しかし、平成になって輸入車の主役の座はドイツ車に変わったのは間違いないでしょう。
吉田由美(以下:吉田)以前のアメリカ車って富の象徴だったような気がします。まさに成功者の証だったのでしょう。大きなボディ、大排気量のエンジン、広い室内空間・・・まさに国産車と対局にある存在です。
鈴木:しかし、アメリカ車も平成に入ると輸入車の象徴的なイメージはドイツ車に奪われてしまい、まずフォードが日本市場から徹底。そしてクライスラーもジープを除いて撤退してしまいました。もう、ゼネラルモーターズ(GM)のキャデラックとシボレーしかアメリカ車を体験できない状況です。しかもポジティブな意味でキャデラックATSやCTSといったセダンは駆動方式をFR(後輪駆動)にして、スポーティな走りを追求するなどドイツ車を強く意識している感じがあります。そういった意味ではこのフルサイズSUVのキャデラックエスカレードは真のアメリカ車の味を残したクルマと言えます。
吉田:ビジネスですから、人気のある商品に近いものを作るのは当然です。しかし、SUVはアメリカ車が得意としているカテゴリー。だからこそ、自分たちの哲学を変えないというポリシーをキャデラックエスカレードに乗ると感じられます。
アメリカのラグジュアリーSUVならではの高級感をキャデラック エスカレードから実感
C:実際にキャデラックエスカレードに試乗されていかがでしょうか。
鈴木:多くの人がイメージするアメリカ車の大きなボディサイズ、大排気量、広い室内空間は継承しているものの、実際に運転してみると全然違います。最新鋭の運転支援システムが装着されていますし、様々な電子デバイスによって快適に移動できるようになっています。
吉田:とにかく守られている感が違いますね。ドアもしっかりとした重さがありますし、広い室内空間はセレブ感が漂っています。クルマの動きは大らかで、乗り心地重視の仕様です。やはりこのクルマはVIPが似合いますし、レッドカーペットが似合う唯一のSUVと言えるでしょう。
鈴木:そうですね。エスカレードはデザインなどもすごく都会での使うシーンがイメージされていて、シャープな印象がほかのライバル車に比べると強調されています。現在キャデラックエスカレードと同じ、フルサイズSUVはニューヨークモーターショーで新型が発表されたメルセデス・ベンツGLS、BMW X7、アウディQ7のドイツ御三家と国産車で唯一1000万円オーバーのレクサスLX570が当てはまると思います。
吉田:確かに、キャデラックエスカレードは他のライバル車と比べると豪華さ、セレブ感がまったく違いますね。これはエスカレードしか味わえない雰囲気です。豪華な雰囲気は差がありますが、乗り味などはレクサスLX570に近い感じがしました。すごくエスカレードを意識してクルマ作りをされたのかも?