熊本県熊本市にある水前寺成趣園(すいぜんじじょうじゅえん)は、国内外からの観光客に人気の場所。通称水前寺公園とも言われ、地域の人にも親しまれています。

日常の喧騒から離れ、ゆったりした空気が流れる水前寺成趣園に足を踏み入れれば、小さな悩みも忘れて心穏やかに過ごせます。

阿蘇の伏流水が湧き出る池や古今伝授の間など、細川家に愛されてきた水前寺成趣園。歴代の肥後細川家の熊本藩主はこの水前寺成趣園でどんなことを思っていたのでしょうか。そんな風に江戸時代を想像しつつ、水前寺成趣園の魅力を紹介していきます。

目次

  1. 1. 水前寺成趣園(通称:水前寺公園)とは?
  2. 2. 水前寺公園の見どころ:伏流水からなる池
  3. 3. 水前寺公園の見どころ:出水神社の長寿の水
  4. 4. 水前寺公園の見どころ:稲荷神社
  5. 5. 水前寺公園の見どころ:細川氏の銅像
  6. 6. 水前寺公園の見どころ:小山・築山
  7. 7. 水前寺公園の見どころ:重要文化財・古今伝授の間
  8. 8. 水前寺公園周辺のご当地グルメ情報
  9. 9. 水前寺公園の基本情報

1. 水前寺成趣園(通称:水前寺公園)とは?

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

水前寺成趣園は熊本城と並ぶ熊本市の二大観光スポットで、昭和4年に国の名勝および史跡に指定されました。細川忠利(ただとし)公がこの地の湧水を気に入り、御茶屋を建てたのが始まりです。その後細川光尚公、綱利公と三代にわたり庭園が整備され現在とほぼ同じ規模の庭園となり、陶淵明(とうえんめい)の詩「帰去来辞」(ききょらいのじ)の一文、「園日ニ渉以成ス趣」 にちなんで「成趣園」と名付けられました。

成趣園は東海道五十三次を模したものといわれており、回遊式の園内は30分ほどで散策できます。

2. 水前寺公園の見どころ:伏流水からなる池

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

水前寺成趣園の池は阿蘇の伏流水から造られ、湧水は、1年中約18度の水温に保たれているのだとか。池を囲む松の佇まいはどっしりとしていて、上品な風情が庭園をより美しくしています。

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

「どうすれば美しい景観になるのか」と、細川忠利公、光尚公、綱利公は模索しながら造ったのかもしれません。築山と松だけというシンプルですっきりした景観は、無駄のない茶室の造りや、茶道の精神に通ずるものがあります。

鴨の群れや白鷺が優雅に泳ぎ、ゆったりした気持ちにさせてくれます。雨の日は、いつも以上に静けさを感じ、池の美しさに吸い込まれていくようです。熊本市という大都市の中にあることを忘れてしまいそうなほど、穏やかな空間が広がります。

3. 水前寺公園の見どころ:出水神社の長寿の水

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

成趣園の入り口から左に進むと、出水(いずみ)神社という神社があり、細川藤孝(幽斎)公、忠興(三斎)公、肥後細川家歴代の藩主やガラシャが祀られています。「熊本市へお邪魔しています」という挨拶も込めて、お参りしましょう。

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

手水舎で手を清めた後、目線を右に移すとまた水の流れる場所が。「なんだろう?」と近づくと、こちらは「長寿の水」。阿蘇火山の硬水で、「百薬の長」として多くの人がこの水を求めて来られます。熊本県の水は、「水の都くまもと」と呼ばれるほどきれいなことで有名。きれいな水はおいしいお茶に適していたのかもしれません。

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

境内にある五葉の松は樹齢400年を超えた盆栽で細川忠利公が大切に育てたと言われています。盆栽というと小さな鉢植えのイメージですがこの盆栽は人間の身長を超えるほど。その大きさに驚かされます。

4. 水前寺公園の見どころ:稲荷神社

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

出水神社を出てさらに奥へ進むと、赤い鳥居の稲荷神社が見えてきます。京都伏見稲荷神社の御分霊を、細川斉茲(なりしげ)公が文化6年(1809年)に奉斎されました。五穀豊穣や家内安全などの守護神とされています。鳥居に入り拝殿まで歩いていると神様へ続く道のように感じ、厳かな気持ちになります。

5. 水前寺公園の見どころ:細川氏の銅像

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

左側は水前寺成趣園を創設した肥後細川家の初代熊本藩主である、細川忠利公の銅像です。右側は、細川藤孝(ふじたか)公で、古今伝授の継承者です。2人の人物を知ることによって、水前寺成趣園を作ったのはどんな人物だったのか、古今伝授とは何なのかなどという歴史を知ることができます。園内には銅像の他にも、「崇徳報恩の碑」や記念碑などの細川家にまつわる場所がありますので、歴史上の人物を感じながら散策してみるのも一興です。

6. 水前寺公園の見どころ:小山・築山

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

園内の道はきれいに整備されているので、雨が降っていても歩きやすく、安心して散策ができます。凛とした冬の景色、春には桜を秋には紅葉をと、四季折々の愛で方が楽しめそうです。雨の日は傘に当たる雨音を聞きながら、晴れの日は空に映える景色に見惚れながら、心地よい散策を楽しんでください。

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

園内の通りは「能楽通り」や「神社通り」などと名付けられています。このような道標があると、園内のどこに何があるのかわかりやすいですね。写真右奥に見える建物は能楽殿です。

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

築山は人工的に作られた小山です。小山をもつ庭園は、桃山時代に造られた回遊式庭園と同時期に増えたスタイル。入口側から見た時はそれほど大きいとは感じませんでしたが、近くで見るととても迫力があります。

様々な角度から美しい景色を見せてくれる水前寺公園。園内には随所にベンチがありますので、自分が「美しい」「好きだな」と感じる景色を探してみるのも楽しいでしょう。

7. 水前寺公園の見どころ:重要文化財・古今伝授の間

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

成趣園の入口から右側に進んだ場所にあるかやぶき屋根の家は、熊本県指定重要文化財です。細川藤孝公が桂宮智仁親王に古今和歌集の解説の奥義を伝授したことから、古今伝授の間と呼ばれてきました。かつては京都御所内にありましたが、大正元年に水前寺成趣園に移されました。

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

散策途中にちょっと一息。古今伝授の間では、お抹茶・コーヒーとお菓子のセット(650円)をお座敷でいただくことができます。古今伝授の間の隣にある古今伝授の間香梅で注文します。

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

今回は抹茶と「加勢以多(かせいた)」というお菓子をいただきました。加勢以多には細川家の家紋が焼き付けられています。加勢以多はもち粉とカリン、羊羹でできており、食べるとサクっという感じと、もち粉のもちもちとした食感が混じり合います。抹茶の苦みと加勢以多の甘さの相性が抜群でした。他に十六夜という黄味あんを使った甘いお菓子もあります。晴れた日には外に設けられた席でいただくと、より一層おいしく感じることでしょう。

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

古今伝授の間に座って抹茶とお菓子をいだたいていると、自然と背筋が伸びていました。細川藤孝公は、ここで古今和歌集の解説を伝授したのかもしれません。景色を見ながら和やかに進められたのか、それとも緊張感漂う雰囲気だったのか。想像力がかきたてられます。

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

目の前に広がる景色を見ていると心が静まり、とても贅沢な時間が過ごせます。池には雨でできる丸い模様。松が風や雨で動く様子。普段はあまり意識することのない自然の様子に気づくことができました。

8. 水前寺公園周辺のご当地グルメ情報

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

水前寺成趣園の前には参道があり、大人気の熊本県のキャラクター、「くまもん」もお出迎え。熊本グルメやお土産屋さんが所せましと並んでいます。

「ご当地名物食べ歩きは旅の醍醐味!」という方も多いでしょう。いきなり団子、馬刺し、くまもんのスナックなど、「これぞ熊本名物!」と思わず興奮してしまうようなお店がたくさんあり、どれをいただくか迷ってしまいます。晴れた日はベンチでのんびりしながら、熊本名物を満喫できます。

着物レンタルサービスを利用して、着物で水前寺成趣園を散策すれば、より一層情緒ある体験ができそうです。

熊本ご当地お菓子「いきなり団子」

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

「はやしのいきなり団子」(110円)は、さつまいもとあんこを生地で巻いた後、蒸してできたお団子です。熊本の方言で「いきなりだご」と呼ばれ、昔の人は、おやつとして食べられていたのだそうです。

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

毎日朝からお店で手作りしているこのお団子は、毎日買いに来る常連さんもいるほどの人気ぶり。「冷めてしまっても電子レンジで温めて食べられるように」と、個包装がうれしい心配りです。常温で2日もちますが、できればその日中にいだだくのがおすすめ。宅急便での発送もお願いできるので、お土産に郵送してもよいでしょう。

いきなり団子の他にも、「紫芋まんじゅう」や「紫芋ようかん」があります。お気に入りのお菓子を見つけてみてください。

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

中にはほくほくとあたたかいさつまいもがたっぷり!さつまいもは熊本県産の紅はるかを使用。さつまいもの甘さとあんこの甘さの組み合わせは、意外とあっさりで、食べやすいです。お店の隣には屋根付きの座れるスペースがあり、雨が降っていても座っていただくことができました。材料はあんこやさつまいもで、全て手作り。

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

はやしのいきなり団子は水前寺成趣園を出てすぐの場所にあります。

【はやしの いきなり団子】の基本情報

■住所:熊本県熊本市中央区水前寺公園7-2(水前寺成趣江園前の参道内)
■営業時間:8:30~(無くなり次第終了)
■駐車場:なし

熊本のご当地麺「太平燕」

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

水前寺成趣園を散策した後はお腹が空いたので、飲食店を探します。水前寺成趣園を出て右手に進んだ場所にある「味干拉麺」さんに入りました。「味干拉麺」は、今年創業50年。「おいしいだけでなく体に良いラーメン」を提供しています。日本だけでなく、海外でも展開しているお店です。

【熊本】水前寺成趣園(水前寺公園)で江戸時代へタイムトラベル!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

お店の一番人気の「水前寺定食」、名前が気になる「復刻ラーメン」等々、魅力的なメニューがずらり!悩んだ結果、熊本のご当地麺「太平燕(たいぴーめん)」(850円)を注文しました。麺の代わりに春雨が使われていてヘルシー。鶏ガラスープに野菜と魚介がたっぷりのっています。具だくさんな太平燕でおなか一杯!スープのうまさと温かさが身体に沁みました。

【九州熊本豚骨 味干拉麺】の基本情報

■住所:熊本市中央区水前寺公園6-8
■営業時間:11:00~17:30(ラストオーダー17:00)
■駐車場:水前寺タワー駐車場20台(徒歩2分)
■定休日:不定休(※基本年中無休)

心が静まる回遊式庭園の水前寺成趣園。成趣園から一歩外へ出るとにぎやかな参道。熊本の美しい観光スポット水前寺成趣園でタイムトラベルを体感してみてください。

9. 水前寺公園の基本情報

水前寺公園の基本情報は以下の通りです。

水前寺公園の基本情報

■住所:熊本県熊本市中央区水前寺公園8番1号

■営業時間:【3月~10月】7:30~18:00、【11月~2月】8:30~17:00 

※入園は閉門の30分前まで

※北門は9時30分~16時まで

■料金:大人(16才以上)400円、子供(6才~15才)200円

※団体(大人、子供含めて30名以上)の場合、大人(16才以上)360円、子供(6才~15才)180円

※各種手帳所持者等の場合、大人(16才以上)200円、子供(6才~15才)100円

■駐車場:なし(近くに有料駐車場あり)

■定休日:無休

■車でのアクセス:熊本駅から県道28号経由で約15分、熊本空港から県道36号経由で約30分

■電車のアクセス:熊本市電A 系統「熊本」駅から健軍方面行き約30分、「水前寺公園」電停で下車、徒歩約5分

【熊本一口メモ】

水前寺公園がある熊本市には、熊本城や市電など、歴史、文化を感じられる名所がたくさんあります。エリアを広げ熊本県内を観光するなら、黒川温泉や、島をつなぐ五橋で知られる天草、日本三大渓流の一つ球磨川などもおすすめです。下記に熊本県のツアー情報をまとめてありますので、参考までにチェックしてみてください。

<時間と費用>(関東発の目安)

●旅行日数:2~4日間
●ツアー費用:約14,000円~約100,000円

文・写真・みしましょうこ/提供元・たびこふれ

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