ゲームは有害だという意見を聞くこともありますが、ゲームを実験に利用している研究は意外と多く存在します。
2020年10月に科学雑誌『Brain Sciences』にて発表された新しい研究では、ADHDの子供を診断するため、子どもが慣れ親しんでいるゲームを利用する方法が提案されています。
ADHDという症状を知る人は増えてきていますが、実は現在のところ、この症状を単独で診断できる医学的検査は存在していません。
この研究はそんな状況を打開する一手になるかもしれないのです。
実は検査方法がない「ADHD」
ADHD(注意欠如・多動症)は、「不注意」と「多動・衝動性」を主な特徴とする発達障害のひとつです。
この症状を患う子どもは、家庭や学校での生活に困難が伴うことが多く、子どもの心の発達を支援するためにも、この症状への対処や治療はとても重要になるとされています。
ADHDは子どもの約7.2%が持っているという推定があり、最近耳にする人も多いのではないかと思います。
しかし実は単独で診断できる確立された医学的検査方法がありません。
ADHDの診断は、患者の行動的特徴から医師が判断することになっており、これは医師の経験や、教師、保護者の観察力に依存することになります。
症状の特徴は、「気が散りやすく集中できない不注意」や「じっとしていられない衝動性」などがあげられていますが、正直こういった症状は子どもなら多かれ少なかれよく見られるものです。
このため、感情的な要因から誤った診断がされる可能性もあるのです。
こうした問題を解決するため、スペインのマドリード・カルロス3世大学の研究チームは、新たなADHDの程度を評価するプラットフォームの開発を行ったのです。
それが、まるでマリオのような横スクロール型のアクションゲームです。
一体ゲームを使ってどうやってADHDを判断するのしょうか? そして、あえてゲームで行うその理由とはなんなのでしょうか?