世界には色々な疑似科学があふれています。一見科学的に見えるものも、実は科学的根拠の薄いものも多く、私たちが一生懸命ためたお金を奪っていくことも…。

もしかしたら将来科学的に証明されるかもしれませんが、現状では科学的根拠が薄いものも多いです。

今回は巷で信じられている、または信じられていた、10個の興味深い「疑似科学」とされているものを紹介します。

目次
うっかり騙された10の疑似科学 前編
うっかり騙された10の疑似科学 後編

うっかり騙された10の疑似科学 前編

1. 思考場療法

うっかり騙された10の疑似科学「磁気治療」
(画像=Credit: Wikipedia、『ナゾロジー』より引用)

思考場療法(TFT)は1980年から浮上してきた疑似科学理論です。1980年頃、心理学者ロジャー・キャラハンは一年以上水恐怖症で苦しんでいた患者を治療しました。その恐怖症はとても重く、治療中にプールのそばに座っているだけで、胃痛を訴えたほどだといいます。

元々キャラハンは、過去に東洋医学や経路について学んでいたようです。経路とは、体内を通して流れているエネルギーの重要な通り道と考えられています。鍼治療では胃の経路を打つ領域が頬骨上にあると言われていたことを思い出した彼は、痛みを和らげることを期待して、患者に頬骨のその領域を叩くように頼みました。

すると、奇跡的に胃痛が完全に消え去りました。それどころか、思った以上の効果があらわれました。なんと患者の恐怖症が消えたのです。患者は以前は見るだけで耐えられなかったプールへ向かって走っていき、飛び込み、水しぶきを上げました。このようにして、TFTが生まれました。

それ以来、TFTは「タッピング」として知られるようになりました。施術者によると、感情、身体の両方の病気の治療に使うことができます。感情の不安に対して、患者がしなければならないことは、経験している問題について考えながら、担当するTFTの専門家が勧める指圧点を刺激することです。

タッピングのウェブサイトでは、75から97%の成功率が主張されていますが、このとんでもない数字を支持する僅かな証拠さえ、提供するような実験的研究は今のところありません。

2. 磁気治療

うっかり騙された10の疑似科学「磁気治療」
(画像=Credit: emfscience.com、『ナゾロジー』より引用)

みなさん、ピップエレキ◯ンや、薬局で買うことの出来る磁気ブレスレットを見たことがあると思います。それらは腰痛や頭痛、あるいはあなたを悩ますあらゆるものを癒やすといわれています。

磁気治療が効く可能性については多くの説明がなされており、販売者の中にはあなたの気(生命力あるいはエネルギー場)に効果があると主張する者もいます。

彼らが説明するには、ヘモグロビンに含まれる鉄分によって、患部の磁気が血流を増やすという仕組み。ただヘモグロビンの鉄分の磁気が強くない事を考えると、この理論はちょっと大袈裟に思えます(血流の上で磁石を振り動かすことでそれをテストできます。安心してください、何も起きません)。現在これらの主張に関しても、未だ確実な科学的研究はないようです。

3. 眼球運動による脱感作および再処理法

うっかり騙された10の疑似科学「磁気治療」
(画像=Credit: clikgroup.com、『ナゾロジー』より引用)

眼球運動による脱感作および再処理法(EMDR)は、ネガティブな感情やトラウマとなる記憶に対する反応を抑えることを目的とした精神療法

です。まず第一に、PTSDの治療として使われました。

治療はまず、トラウマとなる出来事の記憶を心の表面に保つことで始めます。同時に、両目の焦点を療法士の前後に動く指に集めます。一連のセッションで、患者は感情的なストレスに対処するための様々な方法を教わります。たとえば、想像力技法などです。

治療は患者の視覚的想像を識別する手伝いを目的としています。その視覚的想像は、トラウマとなっている記憶や自身に対する消極的な信念や、関連する身体の感覚や感情と関係しています。多くの研究が、この療法の効果を評価するために行われていますが、その結果は様々です。

普及している理論の一つは、EMDRは効果をしめしているが、それは目の動きが患者を助けているのではない、というものです。代わりに、それは伝統的なトークセラピーでしかなく、セッションを含む戦略の実践をしてるだけなのです。

4. お尻占い

うっかり騙された10の疑似科学「磁気治療」
(画像=Credit:cufbi.com、『ナゾロジー』より引用)

名前からしてキワモノ感が漂っていますが、基本は手相占いと似ています。しかし鑑定するのは何を隠そう、何も隠さないお尻です。お尻占いは、お尻の線や割れ目、くぼみや曲線を読んで個人を理解し、その過去と未来を知る技術です。

シルベスター・スタローンの母親、ジャッキー・スタローンはお尻占いの有名な提唱者の一人。彼女はウェブサイトで、これは古い歴史のある占い方法で、古代バビロン、ギリシャ、インドやローマで実践されていたと主張しています。どうやら、お尻の左頬は過去と脳の右半球を、右頬は未来に対する洞察と脳の左半球を示しているらしいです。

簡単に他人にお尻を見せるのはオススメしませんが、何か別の新しい世界が開けるかもしれません。

5. イヤーキャンドル

うっかり騙された10の疑似科学「磁気治療」
(画像=『ナゾロジー』より引用)

たしかに耳垢がごっそり取れた時の快感はわかります。わかりますが、この方法は絶対に試さないでください。フラグではありません。

さてイヤーキャンドルですが、基本的には、横向きに寝そべり、25センチの中が空洞となったロウソクを耳に突き刺します。そして、15分間それを燃やします。

一説によると、この蝋燭は燃えるとある種の吸い込む力を持つように作られていて、耳垢や他のゴミを耳の穴からかき出すそうです。燃やした後にロウソクを取り出して中を切り開くと、どんなイカした物を吸い込んだか見れるというわけです。

しかし、この方法に疑い持った人が出てきたゴミを解析したところ、それはロウソクから出た燃えたロウと生地の混合物であることが判明しました。

愛好者たちは頭の中の通路は繋がっていると信じており、耳を綺麗にすることで頭をクリアに出来ると思っています。念のため、それは断固として事実ではありません。頭には鼓膜のようなはっきりした障壁があります。イヤーキャンドルの効果は全く証明されていません。耳から耳垢を除去するほどの吸引力は、鼓膜を破ってしまうでしょう。

うっかり騙された10の疑似科学 後編

6. グアシャ(刮痧)

うっかり騙された10の疑似科学「磁気治療」
(画像=Credit: Bradwesley69、『ナゾロジー』より引用)

グアシャは、血液や気の循環をよくするために平らな板状の道具で皮膚を引っかく方法です。皮膚は長い、あるいは短いストロークで引っかかれ、標的となる場所の循環を良くし、血流を増やすと言われています。

グアシャは、蓄積された気エネルギーの滞りを壊し、再び動き出させることで炎症や慢性的な痛みを減らすことを目的とします。この治療で生じる印象的な闘病傷に備えましょう。患者には酷い痣や流血が残ることも珍しくありません。

もちろん、痛みを減らすために誰かからにわざと痣をつけられたり出血させられて、それにお金を払うなんて少し奇妙にみえるかもしれません。現在までに、グアシャの効果についての実験的研究は多くありません。

しかし、やってみる前にそのリスクを考えることは重要です。グアシャが皮膚を破る危険があるということは、同時に感染症の危険があるということです。血が出るということは、あなたの前に施術を受けた人も出血していたかもしれないのです。この治療法の実践的な注意点は、施術を始める前に、施術者がすべての道具を滅菌するか確かめることです。

7. 頭蓋仙骨療法

うっかり騙された10の疑似科学「磁気治療」
(画像=『ナゾロジー』より引用)

頭蓋仙骨療法(CST)は、頭蓋骨や仙骨の接合部を軽く持って、ほんのわずかに、分からないくらいに動かす療法です。この数分の施術が、脳や脊髄を覆っている、髄液の圧力と循環を変える能力が有ると一部に信じられています。

この療法の「創始者」であるジョン・アプレジャーは、CSTは異なる体組織の自然なリズムを使ってピンポイントに働くことで、問題を解決すると主張します。

この独特な介入に懐疑的な人はたくさんいます。彼らの論争の鍵は、髄液の圧力や循環を変えられるほど十分に頭蓋骨を肉体的に動かすことができないという事実です。

8.人相学

うっかり騙された10の疑似科学「磁気治療」
(画像=『ナゾロジー』より引用)

人相学は人相をみて未来を言い当てる技術です。流行がピークに達したのは、中世とルネッサンス期。人の額にあるシワを評価することでその性格を判断し、その未来を言い当てることができると考えられていました。

これは16世紀の数学者で占星術師のジェロラモ・カルダノによって生み出されました。伝説によると、彼は、生きて自身の占星術の預言が外れることが証明されるよりも、自ら75歳で餓死することを選んだと言います。

言うまでもないですが、人相学は本当のところ流行りませんでした。カルダノは800以上もの顔の図を使って研究しましたが、彼の新しい科学は彼の死後続くことはなかったといいます。いつの時代も、とんでもない疑似科学が流行るものです。

9. バイオリズム

うっかり騙された10の疑似科学「磁気治療」
(画像=Credit: Life of Riley、『ナゾロジー』より引用)

一連のリズムを持った周期に人の生活が左右されると、バイオリズム理論は提唱しています。周期23日の身体周期、28日の感情周期、そして33日の知性周期の3つが最初に提唱されました。

おそらく、これらのサイクルが生活パフォーマンスに影響している可能性はあります。身体周期が低い時、ぎこちなかったり低い運動傾向を示すかもしれません。もし身体周期の低い日に体力テストが降り掛かった場合、あなたの身体周期がピークを迎える日に予定を変えてみるのが賢いかもしれません。

しかし数多くの実験により、統計的に意味のある結果はただのひとつもないことがわかっています。

10. カラーセラピー

うっかり騙された10の疑似科学「磁気治療」
(画像=『ナゾロジー』より引用)

カラーセラピーは7つのチャクラ(頭頂部、額、喉、心臓、太陽神経叢、仙骨、そして底部)と呼ばれる箇所を通して体にエネルギーが流れているという概念を元にしています。各チャクラは、特異な色と対応しています。それぞれ、紫、藍色、青、緑、黄色、オレンジ、そして赤です。

カラーセラピストは、チャクラの各領域間のバランスが、健康や幸福に絶対必要だと信じています。もし、チャクラがバランスを失うと、その結果、身体的、あるいは精神的な幸福がそこなわれるというのです。

完全な健康状態に戻すために、カラーセラピストはあなたに不足しているとされる色を活用します。基本的には、あるかなり強い光を患者に当てて、ぱっと消します。

こちらももちろん、科学的に効果が証明されたものではないわけですが、イヤーキャンドルやグアシャに比べると、リスクは少ないようです。

以上、10個の疑似科学をお送りいたしました。実践する方はいないとは思いますが、どの疑似科学も、正真正銘、本物のお医者さんと相談することなしに試すことのないようご注意ください。


参考文献

10 Truly Bizarre Pseudoscientific Fields


提供元・ナゾロジー

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