3. 増え続ける女性労働者
続いて、女性労働者についても見ていきましょう。
図7が女性の労働者数の変化です。
20代で減少していますが、30代以上でそれぞれ大きく増加しているのがわかります。
日本 労働者数 女性
1997年→2020年 単位:百万人
4.2→ 2.9 (-1.3) 20代
2.8→ 3.8 (+1.0) 30代
4.1→ 5.5 (+1.4) 40代
3.6→ 5.1 (+1.5) 50代
1.9→ 4.1 (+2.2) 60歳以上
——————————–
16.7→21.7 (+5.0) 女性合計
図8が女性労働者数の推移です。
男性と比較すると、全体的に右肩上がりの傾向ですね。特に興味深いのが、男性では1998年を機に2012年ころまで減少傾向になっているのに対して、女性は2002年以降で増加傾向が強まっています。
直近では2,200万人ほどで、男性に比べると3割ほど少ない状況です。
今までさんざん見てきた通り、1997年が日本経済のピーク(平均給与、1人あたりGDP)で、企業が赤字主体から黒字主体へと変化した転換点です。男性労働者が減り、女性労働者が増え始める転機ともなっているのが興味深いですね。
また、2019年からのコロナ禍を受けて、女性労働者はどの世代でも急激に減少しています。図4の男性労働者(特に40代、50代)の傾向はほとんど変化がないのに対して、顕著な変化があります。女性労働者が経済危機の際の雇用の調整弁となってしまっているように見えます。
図9が世代別の女性労働者の平均給与です。
男性と異なり、世代間の給与差がほとんどなく、ずっと横ばいなのが特徴です。男性と比べると、かなり低い水準ですね。近年やや増加傾向です。
今回は、日本の労働者数の変化に着目してみました。
労働者数は全体としては増えていますが、少子高齢化の影響を受け、若年世代の減少と高齢世代の増加が見て取れます。全体的に労働者が高齢化しているという事になりますね。
また、女性労働者は増加傾向が続いていますが、給与水準が低いという課題がありそうです。もちろん、パートなども含む平均値になりますので、特に女性は低くなりがちという面もあると思います。
今後少しずつ労働者数も減少が見えてくる中で、1人1人がより豊かになれるような仕事とは何でしょうか?
少なくとも今までのように対価の低い仕事を、人数や時間をかけてカバーするという仕事観では成立しなくなっていくと思います。
今後も日本は人口減少が続き、現役世代の減少と共に全人口に対する現役世代の割合は低下を続けていくと予想されています。
「自動化していく仕事」と、「価値を高めていくべき人にしかできない仕事」に分かれていくのではないでしょうか。
皆さんはどのように考えますか?
編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2022年6月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。
文・小川製作所/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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