3 洋上風力1000万KWのコスト
日本政府は洋上風力発電の拡大についても検討している。そこでは、2030年までに1000万KWという目標が言及されている。これは幾らかかるだろうか。
洋上風力の発電コストは高く、政府資料では30.3~34.7円/kWhとなっている。
1000万KWを建設すると発電コストは年間8541億円となる。他方で発電される電力の価値は2628億円しかない。
両者を差し引くと、5913億円となる。つまり洋上風力1000万kWの建設によって年間5900億円が失われる。
4 おわりに
以上の試算に沢山のご意見があることはよく承知している。だが、敢えて数字を示すのは、結論というよりは、問題の規模感を示すこと、及び、注意喚起の為である。
明らかに、原子力の再稼働の便益は巨大である。石炭火力の廃止のコストも大きい。洋上風力も、相当なコストダウンが実現しないと、新たなコスト要因になってしまう。
既に再生可能エネルギーの賦課金は年間2.4兆円を超え、増え続けている。今後も政策が原因でエネルギーコストが嵩んでゆくと、日本経済へのダメージはますます大きくなってしまう。
文・杉山 大志/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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