専業主婦、無職に対する風当たりの強さ

世の中にはいろんな事情があって働けない人、働く必要のない人がいます。事情は人それぞれ、他人がとやかく言う必要はありません。投資収益が年間の支出額を上回る状況が続くようなら、生きるために働く必要性がないわけですが、そのように暮らしているのを見て「怠けている。働け!」とおせっかいに叱りつけようとする人もいます。

こと専業主婦に対する風当たりはものすごく強いと感じます。子供が生まれると分かるのですが、子供がいると仕事は本当に難しくなります。保育園、幼稚園を入れるのにかかる費用と、パートで働く収入があまり変わらないなら、「外で働かずに、自宅で子供を見ておく方が合理的」という判断になる場合も少なくありません。そして子供がいる専業主婦にも、「子供がいても働いている人はいくらでもいる」と批判する人が少ないのに、子供がおらず主婦業もしていないとなると、「ケシカラン!」と他人に怒りを顕にする奇矯でヒマな人がいるのです。

今回のケースは他人から言われている、というより自分が他人から変に思われてしまわないかを憂慮しての話です。結婚をしており、生活をする上での経済的基盤を持っていて、旦那さんが無職をOKしているようですので、他人の目など気にする必要は本来ありません。それなのに人の目を気にしてしまうのは、「日中に働かない→どこかおかしい人」と思う文化に立脚したものと考えます。

ライフスタイルの多様性を受け入れる意識へ

日本人はそろそろ、各々のライフスタイルの多様性を受け入れるよう、意識のアップデートが必要な時ではないでしょうか?

どんなライフスタイルを送ろうと、「人は人、自分は自分」です。他人が気になるのは、それだけ自分の人生を一生懸命生きていない「ヒマ人」ということです。自分の人生に一生懸命な人ほど、他人に関心を持つヒマがないはずなのです。ヒマをしている他人から何を言われようとも、どう思われようとも気にしなければよいのです。労働だけが有意義な時間の過ごし方ではありません。無職ブロガーのように働かないでも生きていける状況にあるなら、その立場に感謝しつつ、結婚している夫と毎日を楽しく生きる創意工夫を模索すればよいのではないでしょうか。

文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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