“自由を得る”ためと“自由を守る”ための違い
オルバン首相は2016年10月17日、ドイツ南部バイエルン州の州議会でハンガリー動乱60周年の記念講演をし、「1989年は共産政権時代から民主化へ向かう転換期だった。ハンガリーは旧東独国民のためにその国境線を開放しなければならなかった。そして昨年と今年、ハンガリーは国境を閉鎖せざるを得なくなった。なぜなら、自由を守らなければならなかったからだ。両者はコインの両面だ」と語った。簡単にいえば、前者は“自由を得る”ため、後者は“自由を守る”ためだったというわけだ。
北欧フィンランドで今、新たな壁が作られようとしている。フィンランドの場合、明らかに外(ロシア)からの侵入防止が目的だ。同時に、ベラルーシのルカシェンコ政権のように、ロシアが多くの難民をフィンランド国境に送り込むことを防ぐために検問所が設置されるという。
フランシスコ教皇は、「如何なる壁も非キリスト的だ」と述べたことがあったが、「壁」はどの時代にも人が存在するところでは常に作られてきた。人の心の中に「壁」があるからだ。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2022年6月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
文・長谷川 良/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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