史上最大のサメである「メガロドン」は、約2300万〜360万年前まで地球の海を支配していました。
全長は平均で15m、開いた口の大きさは高さ3.4mもあったとされます。
まさにモンスター級ですが、そのサイズや強さの秘密は、出生に隠されていたかもしれません。
デポール大学、ウィリアム・パターソン大学(アメリカ)らの研究により、メガロドンは母親の胎内で孵化し、兄弟姉妹を共食いしていたことが示唆されました。
そこで生き残ったメガロドンだけが、海の世界に解き放たれたと見られます。
研究は、1月11日付けで『Historical Biology』に掲載されました。
母親の中で生き残りを賭けたバトルをしていた?
メガロドンを含むサメは、骨格が軟骨からなる「軟骨魚類」に属しており、歯以外はほぼ化石として残りません。
その代わり、サメは一生の間に何度も歯が生え変わる(最大で4万本)ので、メガロドンの全体像は歯の化石から推測されます。
しかし、これまでの調査で脊椎骨の化石も運よく見つかっており、メガロドンの誕生〜幼年期に焦点を当てられるようになりました。
サメの脊椎骨は大きくなるにつれて、樹木の年輪のように年単位の成長痕を残します。
そこで今回、研究チームは、同じサメのものと特定されている15個の脊椎骨をX線マイクロCTスキャンを行いました。
最初に判明したのは、死亡時の体長が約9mで、年齢は46歳前後だったことです。
次に、出生時に見られる年輪の成長痕を調べ、生まれたときのサイズを割り出しました。
その結果、この個体は出生時ですでに全長2mに達していたことが判明したのです。
これは既知のサメの稚魚のサイズとしては最大と見られ、さらに、メガロドンの子は胎生で生まれていたことを示します。
現存するサメには、卵生の種(トラフザメ、トラザメなど)と胎生の種(ジンベエザメ、ホオジロザメなど)がいます。
さらに、胎生にもいくつか種類があり、代表は、胎内で卵から孵化する「卵黄依存型(ジンベエザメ)」や、人と同じくへその緒で胎児と繋がる「胎盤型(カマストガリザメ)」などです。
また、2mという大きさからすると、メガロドンの子は母親の胎内である程度まで成長したことが伺えます。
例えば、現生のホオジロザメは、胎内の子ザメの食料として卵を産みますし、シロワニなどは兄弟姉妹で共食いをします。
このことから、メガロドンも胎内の卵を食べたり、生まれたばかりの兄弟同士で食べ合ったりした可能性が高いです。
この習性は生まれてくる子孫の数を減らしてしまうので、種の保存には逆効果と見られます。
マンボウなどはそれを心配してか、一度に3億個の卵を産み、最終的に生き残るのは数匹です。
しかしよく考えてみると、胎内で生き残ったメガロドンは生まれながら巨大で強く、海の世界で生き残る可能性も自然と高くなります。
メガロドンは、量より質を重視して子どもを産んでいたのかもしれません。
提供元・ナゾロジー
【関連記事】
・ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見 生首から心臓まで再生できる(日本)
・人間に必要な「1日の水分量」は、他の霊長類の半分だと判明! 森からの脱出に成功した要因か
・深海の微生物は「自然に起こる水分解」からエネルギーを得ていた?! エイリアン発見につながる研究結果
・「生体工学網膜」が失明治療に革命を起こす?
・人工培養脳を「乳児の脳」まで生育することに成功