
セリエA2021/22シーズンが終了(最終節5月23日)し、8月末まで続く夏の移籍期間に注目が集まっている。その中、シーズンを4位で終えたユベントスが、移籍金ゼロで獲得すると言われている2選手が話題だ。
フランス代表MFポール・ポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)と、アルゼンチン代表FWアンヘル・ディ・マリア(PSG)である。5月21日にはパリ・サンジェルマン(PSG)が、6月1日にはユナイテッドが、それぞれの選手の今夏退団を発表し、ユベントスとの契約濃厚と報道された。
ところで、スター選手や素質ある若手選手を移籍金ゼロで獲得することは、ユベントスの得意技である。ここでは、これまでに移籍金ゼロでユベントスに加入し、プレー面でも、経済面でも同クラブを豊かにしてきたスター選手4人を紹介する。
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アンドレア・ピルロ
10年間(2001-2011)ミランにて2度のチャンピオンズリーグ(CL)優勝などに大きく関わり、ミランのレジェンドとなっていたMFアンドレア・ピルロ(2018年引退)。クラブやサポーターに愛されながらも、当時指揮官を務めていたマッシミリアーノ・アッレグリ監督(2010-2014)にあまり起用されなかったことから、2011年の契約更新には応じなかった。
そんなピルロを、移籍金ゼロで獲得するチャンスを見逃さなかったユベントス。さらに、その獲得はユベントスの歴史を大きく変えることとなった。ピルロ加入後の2011/12シーズン、ユベントスは2002/03シーズン以来となるセリエAリーグ優勝を果たすと、4連覇(2011/12、2012/13、2013/14、2014/15)を達成した。
その後、2015年にアメリカに渡り2年ほどニューヨーク・シティでプレーしたピルロだが、ユベントスとの絆は深く、監督として復帰。U-23チームの監督就任が発表されると(2020年7月30日)、そこからわずか9日後にトップチームの監督となった。
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ポール・ポグバ
ピルロの獲得から約1年後(2012年8月)、ユベントスは再びとんでもない選手獲得のチャンスを手にする。当時まだ19歳だったMFポール・ポグバである。つまり今夏もポグバ獲得に至った場合は、ユベントスのポグバ移籍金ゼロ獲得は2度目となるのだ。
当時、2009年にフランスからイングランドに移ったポグバは、マンチェスター・ユナイテッドのユースに加入。2011年にトップチーム昇格を果たすが、アレックス・ファーガソン監督(1986-2013)の元で数試合しかプレーできず、契約更新のオファーに応じない判断をしていた。
ユベントスは、ポグバのユース時代やトップチーム数試合での活躍から素質を見抜き、大物代理人であった故ミノ・ライオラ氏の協力によって獲得を実現させた。すでに身体能力が高かったポグバは、ピルロなるレジェンド達と同じ環境に身を置くことで短期間ですばらしい成長を見せ、ユベントスの多くの優勝に大きく貢献した。
2016年8月、成長したポグバはユナイテッドへの復帰を決意。その移籍金は約131億円にも上り、当時サッカー界における移籍市場史上最高額となっている。