小型魚の漁獲は引き続き制限

太平洋クロマグロの資源量が増えたという事実があったとはいえ、過去に何度も日本の提案が却下されてきた経緯を鑑みると、今回の提案が通る可能性は低いと見られていました。

これが一転して通った理由は、これまで強く反対してきたアメリカが容認したためといわれています。今回の合意では上記の増枠に加え、最大200tの漁業可能枠をアメリカに配分することも決まりました。このことがアメリカの譲歩を引き出すのにつながったと見られるそうです。

太平洋クロマグロの漁獲量上限が緩和の見通し 小型魚の制限は変わらず
(画像=太平洋クロマグロの漁獲量上限が緩和の見通し 小型魚の制限は変わらずトロも食べやすくなる?(提供:PhotoAC)、『TSURINEWS』より 引用)

ただし、漁獲枠増加が正式に決定するには、今後計3回の国際会合で合意が必要になります。また今回の会議では、日本が同時に各国・地域に対して要請していた、30kg未満の小型個体の漁獲量増枠は見送られたそうです。

日本では小型のクロマグロも多く漁獲され「メジマグロ」などと呼ばれて食用にされていますが、価値の低い幼個体を巻き網漁などで大量に漁獲することについては度々非難されています。日本を除いて小型魚の漁獲増枠に熱心な国・地域はなく、今回の増枠提案が通る見通しは立っていません。しばらくの間は、よほどのことがない限り増枠されることはないのではないかと思われます。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

提供元・TSURINEWS

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