ことし開港150年を迎えた「室蘭港」にぽっかりと浮かぶ無人島「大黒島」。周囲はわずか700メートル。
地元民ですら普段立ち寄らないが、「クロユリ伝説」は歴史ファンらの間で有名。景観は四季や時間帯で異なり美しい。

近くの道の駅「みたら室蘭」(室蘭市祝津町)横の空きスペースには、車中泊専用のキャンプ場が今春オープン。
この島を含む港の雄大な景色をウリとし、まちの活性化に期待がかかっている。

歴史

江戸時代後期に当時の場所請負人(その土地に住むアイヌと交易する権利を「知行」とする松前藩士など)が、島に大黒天を祀り、その名がついたという。
現在は無人島として定着しているが、島内には明治後期から昭和初期まで使われた灯台が残されている。
港を行き来する船の航路を照らし、人が住んでいた時期もあった。

灯台は昭和後期には消灯。完全な無人島となり、市街との行き来は公にできなくなった。
一方、景観の美しさは健在で、現在も市民有志が清掃ボランティアを行い、守り続けている。

室蘭活性化のパワースポット「大黒島」って何?
(画像=『北海道そらマガジン』より 引用)

オルソンと哀しきクロユリ伝説

大黒島の代名詞ともいえるのが、歴史ファンらの間でおなじみの「クロユリ伝説」だ。
江戸時代後期の1796年(寛政8年)、ブロートン船長が率いる英国の軍艦「プロビデンス号」が室蘭港に入港。事故死したデンマーク人水兵、ハンス・オルソンを大黒島に埋葬したという。

やがて島では、オルソンの死を悲しむようにクロユリが咲いたらしい。このことから「オルソン島」と別名もついた。
「みたら室蘭」の駐車場にはプロビデンスの石像が建てられ、観光客らに当時ねか歴史を伝えている。

プロビデンス号入港から200年が経過した。無人島となった島内は手入れが行き届かず、クロユリを見た話を聞くことはない。一方伝説は市民の間で根強く残り続けている。
初夏には近隣の町内会などが、自らの畑にクロユリの球根を植えるのが風物詩になっている。

室蘭活性化のパワースポット「大黒島」って何?
(画像=『北海道そらマガジン』より 引用)