近年、AR(拡張現実)の技術がますます向上しており、多くの分野で利用されています。

そしてこの度、イギリス陸軍・空挺部隊の戦闘訓練にも採用されました。

イギリスの防衛企業「4GD」が開発したAR訓練用ロボット「SimStriker」10台を用いて、イギリス陸軍が訓練しているのです。

SimStrikerは一見ただのマネキンですが、ARによって「敵の兵士」のように振る舞います。

目次
ARを利用した戦闘訓練が始まる

ARを利用した戦闘訓練が始まる

AR(拡張現実)とは、現実世界にデジタル情報を付加する技術です。

これまでは主に、ゲームなどのレクリエーションに採用されてきました。

「ポケモンGO」はその有名な例だと言えますね。

しかし最近では、単なるレクリエーションにとどまらず、極めて真剣な訓練にもARが利用されるようになってきました。

イギリスの空挺部隊が「AR(拡張現実)」を実戦訓練に採用
(画像=AR訓練用ロボット「SimStriker」 / Credit:4GD、『ナゾロジー』より 引用)

4GD社が開発した訓練用ロボット「SimStriker」は、現実世界ではただの「人型のターゲット」です。

しかし、ARと組み合わせることで、まるで本物の敵兵のように振る舞います。

実際、ゴーグルを通して見るとSimStrikerは兵士の見た目をしています。

イギリスの空挺部隊が「AR(拡張現実)」を実戦訓練に採用
(画像=ゴーグルを通して見た「SimStriker」は敵兵に見える / Credit:4GD、『ナゾロジー』より 引用)

そして異国の言葉で叫びながら、訓練用のエアガンで攻撃してくるのです。

しかもこのロボット、訓練部隊の動きや光、音を拾うことが可能。

あらゆる方向に対応しているので、少しの情報に反応し、位置を特定して撃ってきます。

訓練兵たちは、本物の敵兵と対峙したような緊張感を味わうことでしょう。

さらにAR訓練用施設を利用するなら、実際の都市や建物を再現した仮想戦場を作り出すことも可能です。

イギリスの空挺部隊が「AR(拡張現実)」を実戦訓練に採用
(画像=ARを利用してリアルな戦場を再現できる / Credit:4GD、『ナゾロジー』より 引用)

戦場の音や匂いまで再現できるため、訓練兵たちは、臨場感あふれる戦場さながらの雰囲気を体感するのです。

現在、このAR戦闘訓練はイギリスの空挺部隊に採用されています。

4GD社は「この没入型戦闘訓練が、現実の戦争におけるパフォーマンスを高めるだろう」と述べています。

訓練用に開発された技術ではありますが、CoD(コールオブデューティ)などのゲームプレイヤーや、サバゲーを愛好する人たちにとって、これは非常に興味深いアトラクションとなるでしょう。

近い将来、とてもリアルなサバゲーが楽しめる体感型のアトラクションが登場するかもしれません。


参考文献

4GD to Deliver SimStriker Smart Urban Warfare Training Targets to the British Army

Humanoid robot soldiers that ‘come alive’ in virtual reality and can talk and shoot guns will be used to train British Army paratroopers for combat


提供元・ナゾロジー

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