営業利益350億円へ、中期経営計画がスタート!

三越伊勢丹HDは21年10月に22年度~24年度までの中期経営計画を策定している。中期経営計画の初期段階「再生フェーズ」にあたる22年度は、「再生の確度を高め、結実を見越した展開を仕込み始める1年」と位置付ける。

具体的には、①外商改革を軸とした「高感度上質」戦略、②デジタル・アプリ会員を追加し、「個客」とつながるDRM戦略、③グループ会社・拠点ネットワークの連携によって収益を獲得する「連邦」戦略、④オンラインショッピング・接客ツールなどリアル店舗とヒトを融合したデジタル推進、⑤将来のまちづくりをめざしたCRE(Corporate Real Estate、企業不動産業)を推進していく。

営業利益ベースでは、今期は百貨店事業29%、不動産事業33%、金融事業36%の利益構造で140億円の営業利益を計画。これを24年度には百貨店事業62%、不動産事業20%、金融事業15%と利益構造改革を進展させ、350億円を達成する計画である。

そこで三越伊勢丹HDでは、今期から財務KPIにおいて、当期純利益やROEなどを加えたKPIの具体化や顧客の蓄積を目的に、「顧客KPI」という指標を新たに提示している。

顧客KPIで最も重要な主体がエムアイカード会員・アプリ会員(非エムアイカード会員)・デジタルID会員(ECのみ)の重複会員である「識別顧客」である。21年度には「識別顧客売上高」が20年度より721億円増の4178億円、「エムアイカード会員売上高」は前年度比485億円増の3942億円と大幅に伸長した。22年度には識別顧客売上高を約5000億円、エムアイカード会員売上高を4600億円と順調に増加させる計画だ。

「個客」戦略を推進

その具体的な施策が、昨年度の中盤から進めている個人外商改革である。個客データおよびAIを使った分析に加え、各ストアバイヤーと外商バイヤーによるネットワークの構築を行いバイヤーがお客への同行および提案をピンポイントで行う。

加えて、店頭における「おもてなし」を目的に店頭アテンダントもつけた。この施策が功を奏し、21年度の識別顧客売上高は790億円となった。この実績は20年度に比べ180億円増となっただけでなく、コロナ以前の19年度と比較しても74億円増となっている。

また「個客」の拡大と利用額向上および双方向のコミュニケーションをめざし、210万人いる従来のエムアイカード会員に加えデジタル会員・アプリ会員と入口を増やすことで顧客基盤のすそ野を拡大していく。

これらの個客戦略を重要な軸とし、改革を進めて行くことで「日本の誇り、世界への発信力を持ち、高感度上質消費において最も支持される“特別な”存在」となる従来の百貨店モデルからの変革(再生)をめざす。

提供元・DCSオンライン

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