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意識は脳の電磁エネルギー

意識は脳の電磁エネルギー

意識とはなんなのか?どこから生じているのか? 一石を投じる「電磁エネルギーの場」という新理論
(画像=電磁界。 / Credit:depositphotos,『ナゾロジー』より 引用)

意識がなにかを問うと、それは科学と哲学の融合した難解なテーマになります。

そのため、この問題については、古くから物質と魂を分けて考える二元論の考え方が主流で、超自然的な理論に流される傾向がありました。

現代の科学者の多くは、もう二元論は捨てて意識が数十億の神経ネットワークから生成されるという一元論的な考え方を受け入れています。

しかし、どちらの考え方でも釈然としない、と思う人は多いかもしれません。

今回の研究者マクファデン教授も同様なようで、彼は魂と物質という超自然的な二元論でも、神経から生じるという一元論でもない、物質とエネルギーに基づいた科学的な二元論を新たに提案しています。

意識に対してエネルギーというワードは怪しさを感じる人もいるでしょうが、この理論は科学的事実に基づいているとのこと。

脳と神経系のニューロンは発火すると、電気信号を神経線維に送り出します。しかし、そのとき同時に電磁エネルギーの波を周囲の組織に発しているのです。

これは、ニューロンの発火と同じ情報を伝達していますが、神経を出入りする原子の流れではなくエネルギーの波として情報を伝達します。

この電磁場は単なる絵空事なわけではなく、実際脳波や脳磁図などの脳スキャン技術で日常的に検出されているものです。

しかし、これまでは脳機能とは無関係なものとして重要視はされていませんでした。マクファデン教授によると、豊富な情報を持つこの電磁場こそが、実際の意識なのだと提案しているのです。

そしてこれこそが自由意志と自発的な行動の原動力になっているといいます。

この理論は、なぜ非常に複雑で超高速で機能するコンピュータが、これまで一切意識の片鱗すら見せなかったのかという理由も説明するものでもあります。

私たちは日常的にさまざまなことを考え、自身の意識を自覚しながら行動しています。しかし、それがなんなのか、どこにあるのかはさっぱりわかっていません。

意識は脳の自己生成電磁場に接続された神経なのだと、マクファデン教授は主張していて、この理論に基づけば適切な技術を使って自意識を持ったロボットやAIも生み出せるといいます。

実際どうなのかはまだ不明ですが、技術で意識が作り出せるとなったら「すごい!」と感動すると同時に、私たちの魂ってそんなものか…と生きる張り合いがなくなってしまいそうな気もしますね。


参考文献

University of Surrey


提供元・ナゾロジー

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